• テキストサイズ

【R18】月夜に咲く華【BLEACH】

第9章 現世編(後編)



「そうだよ石田くん!猫が喋るくらいたいしたことじゃないじゃない!」

「イヤ…そうか…?俺は軽くトラウマになってもいいくらいのビックリだと思うが…。」

「石田くんも朽木さん助けに行くつもりなんでしょ!?だったら一緒に夜一さんのレッスン受けようよ!」

沈黙が走った。石田はとても神妙な顔付きをしており、何を考えているのかは他人には分からない。唇を引き結んだ彼は、立ち上がると同時に背を向ける。

「…折角だけど…僕は遠慮させて貰う。」

「な…何で!?夜一さん凄いんだよ!?ここに来れたのだって夜一さんが石田くんの霊気辿ってガイドしてくれたからで…。」

「…そういう問題じゃないんだ、悪いけど。その"ヨルイチさん"の力を信用してないとかじゃない。僕はただ…一人でやりたいだけだ。それに…僕は元々朽木さんを助けに行く気なんて無いよ。僕はただ、あの死神達に負けた自分が許せないから修行をする。それだけだよ。朽木さんなんて知らないな。」

そう語った彼の背中を見て井上は眉を下げた。彼も来てくれる、そう思っていたのだろう。だが石田は背中を向けたまま振り返りすらしない。四楓院は返事を聞いてあっさりと踵を返す。

「…夜一さん…。」

「聞いた通りじゃ。その小僧に尸魂界へ行く意志は無い。ならば我々も用はない筈じゃ。」

「そん…」

「行こう…井上。」

言い返そうとする井上を茶渡は止めた。井上は少しなにか言いたげだったが、それ以上縋ることはせず、ただ静かに声を掛ける。

「また…気が変わったらいつでも言ってね…。待ってるから。」

それだけ言い残し井上、茶渡、四楓院はその場から去って行く。残ったゆうりだけが石田の背中を見詰め続けた。彼の視線の先には、小さな箱がある。多分、その修行とやらに使う何かなのだろう。

「…助ける気が無い人が、わざわざ修行なんてしないと思うんだけどね。それに、尸魂界に行かないと貴方を負かせた死神と再戦することすら出来ないわ。」

「何が言いたいんだ。」

「一護の死神の力を取り戻すのに十日。そして尸魂界までの門を開くのに七日。つまり旅たちは十七日後よ。その時にまた、浦原商店で会いましょう、雨竜。」
/ 648ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp