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【R18】月夜に咲く華【BLEACH】

第2章 過去編



ゆうりの細い腕が浦原の髪へと伸びる。男にしては少し長い髪を撫でると猫のようにふわふわと柔らかく感じた。浦原は一瞬目を丸めた後、その手を取り指を絡め繋ぐ。

「ゆうりサンの言う大好きっていうのはボクの感情とは違うと思うと切ないっスねぇ。」

「違う?」

「………将来ボクと本当の夫婦になってくれませんか、って言ったらゆうりサンはどうしますか?」

「本当の、夫婦……。」

彼の言葉にゆうりは小さく口を開き顔を俯かせる。浦原はつい出てしまった言葉にハッとすれば場を誤魔化すように笑いながら顔を覗き込ませた。

「なーんて、冗談ですよ!びっくりしました?」

笑ってみたものの、彼女の顔は上がらない。どんな表情を浮かべていて、何を考えているのかも分からなかった。暫くゆうりは俯き何かを考えた後、ゆっくりと顔を上げる。そして唇を震わせながら言葉を選び、紡ぐ。

「…喜助さん、私生きてた頃…小さい時両親が離婚して母親に引き取られたんです。再婚したけど、母と新しい父の仲はあまり良くなくて……私自身も愛されて育ったかと聞かれたら、多分、そうではありませんでした。だから人を好きになる感覚も、愛される感覚も正直まだよく分からないんです。」

「生前の記憶があるんスか?これは珍しい…。だからゆうりサンは妙に大人びてるところがあるんスね。」

「普通は覚えてないらしいですね、藍染さんから聞きました。えっとそれで…本題なんですけど……。」

「なんでしょう…?」

彼女は浦原と向き合うように座り直し正座をすると忙しなく視線を逡巡させた。まさか、既に好きな男が居るとでも言われるのだろうか。そんな不穏な考えが浦原の頭を過ぎる。

「そもそも私まだ見た目も中身も何も出来ない子供で、喜助さんに相応しいとは思えません。なので…私が大人になって、喜助さんの気が変わらなかったらもう一度さっきの言葉を聞かせてくれませんか?それまでに愛がなんなのか、調べておきます!!」

「…全く、狡い子ですねぇ。」

「え?わっ…!」
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