• テキストサイズ

【R18】月夜に咲く華【BLEACH】

第2章 過去編



「良いですかゆうりサン。あなたはちゃんと霊圧制御の仕方を覚えましたが、それでもボクは心配なんです。というわけで、なるべくコレを着て生活する様にして下さい。」

「なんですかこれ?マント?」

「外界から完全にゆうりサンの霊圧を遮断します。これで貴女がこの流魂街で何処に居るのかは、家の場所を知っているボクと夜一サンしか分かりません。それとあんまり治安がいい場所とは言えないので極力街には出ない事。食物はボクが戻る時沢山買ってきますから。」

「分かりました。」

そんな会話を浦原と交わしてから、数週間が経った。真っ黒なフード付きのマントを身に纏い今日も1人で黙々と鬼道の勉強に打ち込む。
彼が連れて来てくれた家は街からやや離れた場所にあり、孤立していた。それに対し特に不満も不安も無いが何故霊圧を遮断するマントを渡して来たのか理由がゆうりには分からない。
浦原は自分の持つ技術力を駆使し、食材の鮮度を長く保たせる冷蔵庫のような優れた機械を作り彼女が暮らす為の環境を整えてくれた。

「今日は帰ってくるかな、浦原さん。」

彼は不規則に帰ってきた。仕事が有るし、隊長だから仕方ない。それに、生きていた頃は両親の帰りが遅い事はしょっちゅうだった為、もう慣れた。それでも瀞霊廷に居た期間があったからか寂しいと思ってしまう。

「…駄目駄目、わがまま言わない。」

首を横に振って考えを捨てる。彼はわがままを言ってもいいと言っていたが、既にここまで面倒見て貰っているのだ。これ以上望むのは烏滸がましい。
ゆうりは暖めていた味噌汁の火を止めた。汁椀に注ぎ夕食の支度を進めていると玄関の開く音が聞こえてくる。彼女は食事の準備を中断し直ぐに玄関へ向かう。

「浦原さん!おかえりなさい!」

「ただいま、ゆうりサン。いい匂いですねぇ。丁度夕飯でしたか?」

「はい!浦原さんの分も有りますよ。」

「それじゃあお言葉に甘えて頂きます。」

常に食事は多めに作っていた。いつ彼が帰って来ても良いように。残ったのなら明日食べればいいのだから。ゆうりにとって何よりも、誰よりも浦原が大切だった。
/ 648ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp