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【R18】月夜に咲く華【BLEACH】

第2章 過去編



浦原とゆうりはまだ騒ぐ彼らを残して十二番隊舎へと戻る。遅い時間にも関わらずまだ灯りが付いていて、研究室の扉を開いたらそこには見るからに苛立った様子の猿柿が仁王立ちで立っていた。


「遅いッ!!!」

「わっ、ごめんねひよ里ちゃん。」

「何時間待たせんねん!危うく立ったまま寝るとこやったわ!!」

「寝てて良かったのに。ゆうりサンの事待ってたんスか?」

「黙っとけ喜助!ゆうり、これから流魂街で暮らすんやろ。」

「うん、今までお姉ちゃんみたいに接してくれてありがとう。」

「おね……っ、う…うっさいわボケ!ウチはゆうりの事妹なんて思っとらんからな!」

「私はずっと思ってたよ。この隊舎で女の子が一緒に居てくれて嬉しかった!ひよ里ちゃん、元気でね。」

自分より背丈の低い猿柿に合わせ身を屈めると、ゆうりは彼女をやんわりと抱き締めた。猿柿は言葉を失い、押し黙ると彼女にだけ聞こえるような小声で呟く。

「……あんま無茶せんで寂しくなったら帰ってきや。」

「うん!」

身体を離すと猿柿は大きな欠伸を漏らし自室へと戻って行った。ゆうりは残された2人と会話すべく、研究室の奥へと進む。そこでは相変わらず涅と阿近が何かの研究を進めていたが…彼女を見るなり珍しく涅は手を止めた。

「やっと戻ったのかネ。待ちくたびれたヨ。こっちに来給え。」

「は、はい…?」

何故待たれているのか分からなかった。が、ゆうりは彼に呼ばれるまま近付いた。何か実験の材料にされるのだろうか…そんな思考が過ぎるより先に片手を捕まれ強引に何かを手首に付けられる。それは銀で出来ており至ってシンプルな腕輪だった。

「なんですか?コレ。」

「それは空腹状態になる事を完全に遮る装備品だ。細かい説明はキミにした所で分からんだろうが、簡単に言うと脳への信号を空腹感から満腹感に強制的に切り替える。そこに居る浦原から頼まれていたのだヨ。どうだネ、腹は減りそうかネ?」

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