第2章 過去編
「まだ子供なんですから、しっかりしようなんて思わなくて良いんです。もっと周りの大人を頼って、甘えて下さい。」
投げ掛けられた言葉に少なからず動揺した。彼女は困った様に頬かき、俯く。
「お恥ずかしい話ですが…その…甘えたり、わがまま言ったりっていうのがよく分からないんです。」
「簡単ですよん!この前の雷が鳴る日みたいな時は素直に怖いから傍にして欲しいって、それだけでいいんです。」
「うう…はい、努力します。」
「そうして下さい。」
どうやら浦原の機嫌も今の会話の中で少しは戻ったようだ。2人は再び歩みを進め、八番隊へ到着した。
そこでは京楽、矢胴丸に加え浮竹と志波、六車と久南が揃っていた。どうやら任務など堅苦しい話ではなくただ隊首室で談笑をしていたらしい。
「あらぁ〜、珍しいね2人で来るなんて。まぁ入りなよ。」
「ゆうり、一緒酒飲もや!」
「バカ、まだガキだっての。浦原もお疲れ。」
「ゆうりん元気〜?」
「あはは…賑やかですね。」
「お疲れ様です、酒盛りっスか?」
部屋に入るとゆうりと浦原も加わり輪になった。輪の中心には酒瓶がドンと置いてあり、おつまみも揃っている。もちろん全員が飲んでいる訳では無いが。
「随分霊圧落ち着いたじゃねェか。コントロール出来るようになったのか?」
「はい!六車さんはこの前の任務お疲れ様でした。あ、お酒注ぎましょうか?」
「おう、サンキュー。」
「霊圧が安定したってことは…もう行くのかい?」
「それが約束ですから。挨拶に来たんです。」
「えー!?やだやだどっか行っちゃうのー!?」
「そうか、それは寂しくなるねぇ…可愛い女の子が減るなんて。」
「オッサンはそればっかりやな。ゆうり、注意せぇよ。流魂街にも虚は出るからな!」
「そうなんですか!?」
「稀だぜ、かなり。でも注意するのに越したことはねぇ。危ねー時は逃げるか完全に霊圧閉じて隠れろ。」
「海燕さん…。そうしますけど、助けに来て下さいね。」
「当たり前だろ、それが俺達の仕事だ。」
志波は歯を見せ笑う。ゆうりもそれにつられて笑った。暫く彼らと過した頃には完全に夜更けとなっていた。