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【R18】月夜に咲く華【BLEACH】

第8章 現世編(前編)



「そうじゃないよ。血は繋がってないけれど本物の家族みたいに過ごした人達が居たの。みんなで遊んで、飲んで、毎日が楽しかった。喜助達だって私にとっては家族だしウルルちゃんとジン太くんも今は私の大切な家族と思ってるよ。」

「意味わかんねぇ…家族って、そう簡単になれるもんじゃねぇだろ…それに、俺に…俺たちに家族なんて…。」

ジン太は俯き唇を噛み、ウルルも俯く。真ん中に挟まれた彼女は眉を下げ困った様な表情を浮かべるとデパートへ向けて歩いていた足を別の方向へ向けた。突然方向転換するゆうりに2人は大きな瞳をぱちくりとさせる。
踵を返して着いたのは、空座町から少し離れた所にある河原だった。以前平子達と花火を見た場所だ。ゆうりはそこに腰掛け2人も困惑しながら座り込む。

「ここ、夏になると花火が良く見えるの。今は人ひとり居ないけどね。」

「何でここに…?」

「ここなら2人とゆっくり話せるかなって思って。」

ウルルは膝を抱えるように体育座りし、ジン太は両足を外に投げ出す様にしてゆうりの両脇に座る。ゆうりはジン太と同じように膝を伸ばした。

「私もね、小さい頃親から愛されなかったの。何しても怒られたし叩かれたりもした。ほかの誰が敵だったとしても家族だけは絶対に味方だって、普通は思える筈なのにおかしな話だよね。」

「それなら…ッ!お前だって周りを信じられなくなる気持ちも分かるだろ!」

「分かるよ、親の虐待の影響もあって引っ込み思案になったし友達も作れなかったから。けど、死んでから…親の様に接してくれた喜助や周りの大人に優しくして貰って、変わったの。直ぐに変わったわけじゃないよ。沢山時間は掛かったけれど、ほんの少しずつ周りを信じられるようになった。」

「…でも、また……叩かれたり、怒られるの…怖い…。」

「悪いことしたら怒るよ!でも叩いたり頭ごなしに怒鳴ったりなんてしない。」

「ほんとかよ…。」

「本当だよ!私はね、喜助や他の人達にしてもらった事を2人にしてあげたいの。たくさんの死神達から愛して貰ったように私もウルルちゃん達を愛してあげたい。親から貰えなかったものを少しでも感じて欲しい。血は繋がって無くても、家族のような絆が出来たらいいなって。だから…直ぐに信じろとは言わないけれど、少しずつで良いから2人も心を開いてくれたら嬉しいな。」
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