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【R18】月夜に咲く華【BLEACH】

第8章 現世編(前編)



ウルルとジン太が浦原商店の新しい家族として加わってから数日が経った。2人はまだ幼いが故か、はたまた生前過ごして来た記憶のせいか中々心を開かなかった。自分より大人のゆうりや握菱を恐れているというか、嫌っている様に見える。
一応浦原の言うことは概ね聞くようで自分より丈の長い箒を持っては店の外の落ち葉を掃いていた。ゆうりはその様子を店の中から顔を覗かせて見詰め、顎に手を添え首を傾げ唸り一緒に2人の姿を見守る浦原へ視線を寄越す。

「ねぇ、2人とも全然懐かないんだけど…喜助にだけだよ、唯一ちゃんと目を見て話せるの。」

「やだなぁ、ゆうりだって最初はボクの事めちゃくちゃ冷めた目で見てたじゃないっスか!」

「…それは追われてたから!このままじゃダメだと思うのよね……私声掛けてくる。」

両手に拳を作り気合いを入れ直した彼女は2人の元へ駆け寄り視線を合わせる為しゃがむ。掃除の手を止めた彼らは訝しげにゆうりを見る。

「ウルルちゃん、ジン太くん、掃除するのも疲れたでしょ?お買い物行かない?」

「……別に、俺達は掃除でもいい。」

ジン太は直ぐに、ふいっと顔を逸らしてしまった。ウルルに視線を送ると彼女は箒を握り締め視線を逡巡させている。これは、買い物に行くのか迷っているのだろうか、それとも断り方が分からなくて困っているのか。どちらか区別は付かなかったがゆうりはこれはチャンスだとばかりに笑顔で続ける。

「今日の夜ご飯の材料買いに行かないといけないの。お手伝いしてくれたら好きな玩具何でも買ってあげる。」

「ほんと…?」

「……。」

ウルルの目がパッと輝きジン太の肩がぴくりと揺れた。やはり1度死んでしまったとはいえ子供だ。玩具と聞いて反応を見せない訳が無い。物で釣るのはどうかとも思ったが取っ掛りとしては丁度良かった。

「………私、行きます。」

「あっ、汚ねーぞウルル!物なんかに釣られやがって!」

「ジン太くん、痛い痛いよぅ!」

ゆうりについて行く事を決めたウルルにジン太は勢い良く振り返るなり長く伸びた前髪を掴み引っ張った。ウルルは涙目になりながら彼の手を引き離そうとする。ゆうりは既に姉弟の様な2人に頬を緩め立ち上がり手を伸ばした。
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