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【R18】月夜に咲く華【BLEACH】

第8章 現世編(前編)



尸魂界から逃げてから、伝令神機は直ぐに使えないようにしていた。機械を通して居場所がバレてしまう…生きている事を向こうに悟られるのを避ける為だ。しかしそれ故平子も彼女と連絡を取る手段を失ったらしい。

「部屋ァ見に行ったら掃除されとる雰囲気あったし、此処で待っとればいずれ会うやろ思うて借りたわ。何があったん、今それ着とるん霊圧遮断の義骸やろ。」

「…うん。」

眉を下げ泣きそうな顔で笑い、頷いたゆうりに平子は表情を歪めた。
…誰がどう見ても何かあった奴の顔やんけ。何でオレはいつも、ゆうりと再会する度泣き顔なんやろなァ。
そんな事を思いながらゆうりと隣合わせでベッドに座り彼女の話を聞いた。

「藍染と敵対した事は、電話で話したよね。」

「おう、聞いたわ。」

「虚が尸魂界に出現して、私の所属する十番隊の子達が討伐に向かったの。けれど中々倒せなかったみたいで私も後から向かう事になって。普通に虚を討伐したと思ったんだけど…私が殺したのは、部下だった。」

「…何?」

「鏡花水月にかけられた。虚と錯覚したのは、本当は死神で…私は尸魂界で今、自分の部下を殺した死神として知られてしまったと思う。流石にその状態で向こうには居られなかった。私自身も刺されて深手を負っちゃって…こっちに一度逃げて来たの。真子が空座町に喜助が居るって教えてくれたから、命を落とさず済んだわ。本当にありがとう。」

「ありがとう、て……。」

まさかそこまでの事態になっているとは思いもせんかった。虚と錯覚させて同族を殺されるなんて、何処まで卑劣な男なんやアイツ…。そもそも狙いは何や。何故そないゆうりに構う?メリットは?
彼女の言葉を聞いて平子は無意識に奥歯を噛み締め思考を巡らせながら指先を一定の速度で膝をトントンと叩く。やはり彼女を尸魂界へ帰すべきでは無かった。無理にでも自分の元へ縛り付けれおけばこれ程悲しませる事も無かっただろうに。

「…そんな顔しないで。私は大丈夫。」

「ゆうり…。」

「そ…それよりひよ里ちゃん達は元気?」

「…当たり前やボケ。少なからずオマエよりは元気有り余っとるわ。」

「いたっ!」

無理に笑おうと口角を上げるゆうりを見て、平子は人差し指と親指で輪を作り彼女の額を弾く。じんじんとした痛みにゆうりは額を摩った。
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