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【R18】月夜に咲く華【BLEACH】

第8章 現世編(前編)



「夜一さんは本当に毛並みツヤツヤですね。」

「うむ、しっかり手入れをしているからな。」

浦原商店での暮らしから半年近い時が過ぎた。尸魂界から逃げた彼女を探すような動きは、現時点では見られない。至って平和な時間がただひたすらに過ぎてゆく。勿論藍染からの接触も無い。店の手伝いをしつつ、空いている時間では地下の修行場を使い刃禅を組んでは精神世界へ没頭し、卍解の練度をただひたすらに上げていた。
そんな日々を送る中、今日は縁側に座るゆうりの膝には四楓院が乗っている。真っ黒な毛は陽の光で艶やかに光って見えた。片手に持ったブラシで首から尻尾の付け根にかけて梳かせば、グルグルと喉が鳴る。

「夜一さんって、歩法や白打が得意なんですよね。瞬神と呼ばれていたとか。」

「あぁ、そうじゃ。今もその名を捨てたつもりは無いぞ。」

「何か私にも稽古を付けてもらったり出来ますか?」

「稽古?お主まだ力を求めているのか。」

「力はいくらあっても困りませんから…それに私、鬼道は得意でもそれ以外は特に秀でてるわけでも無いんですよ。」

「なる程、そうじゃのう…歩法ならば良い術が有る。修行場に行くぞ。」

ぴょんと膝から退いた四楓院は長い尻尾をゆらりと左右に揺らし地下へ続く梯子へ向かい飛び降りる。ゆうりも彼女の後を追い掛け、地下に向かうと義骸を脱ぐ。地下の修行場はまるで外の様な造りになっており、天井は空をそのまま落としたかのように青く、床は荒廃した土地のようだ。

「猫の姿のままですか?」

「いいや、人間の姿に戻る。」

メキメキと音を立てて背中から徐々に人間の形へと変貌していく。初めて変身を見ても何がどうなって人間に戻れるのか全く分からない。気が付けば全身を覆う体毛は消え、綺麗な褐色肌が露になる。そしてすっかり人型の形に戻った四楓院にゆうりは、はくはくと唇を開閉させた。

「よっ……よ…夜一さん!!」

「この姿も久しいのう。どうじゃゆうり、驚いたか?」

「驚きましたよ!とりあえず洋服着て下さい!」

そう、人間に戻った夜一は身体に衣類の1つ纏っていない完全に産まれたままの姿だった。女同士とはいえ、流石に丸裸のまま稽古をつけてもらう気にはなれない。四楓院は己が何も着ていない状態を失念していたのか、ゆうりの言葉にキョトンと目を丸めた後豪快に笑う。
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