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【R18】月夜に咲く華【BLEACH】

第7章 死神編【後編】


ゆうりは斬魄刀をゆっくりと抜いて片手に携えた。

「…魅染めろ。"胡蝶蘭"」

始解を済ませ、瞼を降ろし感覚を研ぎ澄ませ虚の位置を探る。先に来ていたという3人の死神の気配も感じられない。既に殺されてしまった…?
不吉な事を考えていると、不意に強い霊圧を感じた。現世で感じた気配と同じだ。虚とも死神とも取れぬ濁った霊圧。それが勢い良く迫って来る。

「…来た。」

瞼を持ち上げ踵を返す。背後まで迫っていた人の形をした虚は細い刃のような腕を突き出した。それを避け振り上げた斬魄刀で突き出された腕を切り落す。

「ガァアアアアアア!!!」

「前より弱くなった?」

見た目は、現世で見た黒い虚と全く同じだった。しかしあの時のような速さは感じられない。少し妙に思ったが、個体差が有るのだろうか…そう考える事にして、再び斬魄刀を振り上げる。

「これでお終いね。呆気ない。」

痛みを感じているのか悲鳴を上げる虚へ刀を振り下ろそうとした刹那、再び背後に奇妙な気配が現れる。咄嗟に振り返ると、まるでコピーの如くまた同じ姿の虚が腕を振り上げていた。報告では、一体だった筈なのに。ゆうりは瞬時に刀を逆手に持ち虚の一撃を斬魄刀で受けた。こちらの虚は随分力が強い様で、刀を伝いビリビリと腕が痺れる。

「グルルルルル……!」

「まるで獣ね…。」

刀状の腕を弾き上げると直ぐに胡蝶蘭を横に薙ぎ力の強い虚の上半身と下半身を分かつ様に切り裂いた。赤い血飛沫が体にベッタリこびり付く。
…まず一体。後は腕を落とした虚だけ…。
残る虚と向き合った所で、ゆうりはギョッとした。腕を落とされた虚が、泣いている…?

「何……何で…?」

「ガァァ……!」

呻きながら涙を零す虚にゆうりは酷く混乱した。何故涙を流しているの?痛いから?仲間が殺されたから?分からない…分からない。
分からない、けど…虚は倒さないと。それが私の仕事…ここに来た理由。早く倒して、先に来ている3人を探さないと。
そんな想いを抱え、涙を流す虚を肩から腰へ掛けて切り裂く。虚は、抵抗する間も無く倒れていった。
胡蝶蘭を一振りして軽く血を落とし、始解を解いて鞘へ収める。藍染が寄越してきた刺客の割には随分手応えが無いものに思えた。他にもまだ何かあるのでは無いか…そう思い辺りを見渡す。
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