第7章 死神編【後編】
「冬獅郎、書類終わったよ。」
「あぁ、ありが……何か多くねェか?」
「乱菊さんの分も有るからかな。」
「何でお前が松本の分までやってるんだ…。」
「書類手伝う代わりに甘味奢ってもらう事になったの。そろそろ戻って来ると思うよ。」
十番隊へ異動してから1週間程の時間が過ぎる。元々隊長、副隊長共に良く顔を知っていたという事も有り、新しい環境に馴染むまでそう時間は掛からなかった。すっかり松本の扱い方を心得ているゆうりに溜息を吐きながら差し出された書類を受け取ると、彼女の言う通り松本が白い袋を引っ提げて執務室の扉を開いた。
「たっだいま〜!お団子買って来たわよー!」
「おかえりなさい乱菊さん!」
「松本…お前人に書類押し付けるんじゃねェ!」
「あら、ゆうりとはちゃんと話付けてますよぅ。それより隊長も食べません?」
こめかみに青筋を立てる彼を意に介す事無く松本は平然とした顔で日番谷の目の前へ袋を差し出す。本日既に2度目のため息が聞こえた。
結局、休憩を兼ねて3人揃い執務室のソファで彼女の買ってきた団子を食べる事になり、ゆうりの隣に松本、テーブルを挟んだ反対側のソファに日番谷が座り串に刺さった団子がテーブルに広げられる。
「これがヨモギで、こっちがみたらし!ゴマも有るわよ。」
「わー、ゴマ頂きます!」
「隊長は?」
「…ヨモギ。」
「じゃああたしは、みたらしから食べようかしら。」
それぞれ串を摘み4つ刺さった団子の内1つを頬張った。ゴマの風味ともちもちな団子の食感、程よい甘さが合わさってとても美味しい。ゆうりは頬に手を添え幸せそうに噛み締める。
「美味しい!こんな風にのんびり過ごしてるの久しぶりだなぁ。」
「最近何かと忙しかったものねぇ…ウチの元隊長も巫山戯た書き置きして居なくなっちゃうし、なんだってのよもう。」
「…何かあったんだろ。あの人は普段巫山戯てる事も多かったが、仕事は出来る人だった。何より他人を裏切る様な人じゃねェ。」
「それはあたしも分かってますよぅ、隊長より隊長との付き合い長かったんですから。」