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【R18】月夜に咲く華【BLEACH】

第2章 過去編



「目を閉じて、気を鎮めろ。自分の内側にある力を感じ取れ。」

「はい…。」

今日ゆうりは四楓院に連れられて朽木の元へ訪れていた。霊圧を感じ取る練習を重ねる事数日。漸くその不思議な力を肌で感じられるようになって来た。霊圧はまるでその人自身を表すようで、刃物の如く鋭い人も居れば包み込むような優しさを持つ人、多岐に渡るように感じる。

「…もういい、目を開けろ。」

「はい!どうでしたか!?」

目を開くと同時にパッと笑顔で朽木に詰め寄る。彼は表情ひとつ変えずゆうりの肩をやんわりと押し返すが内心あまり穏やかでは居られなかった。無邪気で、無防備が過ぎる。彼女はあまり気にしていない様だが。

「問題無い。ここまで上手く調節出来るようになったなら流魂街に出ても平気だろう。」

「そうですか…良かった。」

彼女はホッと息をついた。コントロールが出来るようになった所でどの道、四楓院が来るまで帰れない。ゆうりと朽木は家の縁側に並んで座る。

「…本当に流魂街に住むのか?」

「はい、私は死神では有りませんから。いつまでも甘えて御迷惑を掛けられません。」

「そうか…。」

かける言葉が見つからない。元々あまり器用とは言えない性格だ、素直に物事を口にするのも彼にとっては難しい。
沈黙が続く。少しだけ悩んだゆうりは彼の顔を覗き込み悪戯めいた笑顔を浮かべる。

「もしかして、寂しいですか?」

「…口が過ぎるぞ。誰がそのような事。」

「私は寂しいですよ。白哉さんに会えなくなりますから。」

…全く、この女は。
私が上手く紡ぐ事の出来ない言葉をいとも簡単に囁く。それが些か腹立たしく、それ以上に好ましい。

「貴様はもう私と会わぬと言うのか?」

「だって…私は流魂街で、白哉さんは貴族ですよ?流魂街の人は瀞霊廷には入れないって聞きました。」

「ならば私から逢いに行く。」

「え…?」

朽木の口から出た言葉とは思えない台詞にゆうりは目を丸める。彼は己の髪を縛る赤い髪紐を解いた。サラリとした黒い髪が落ちる。朽木は立ち上がるとゆうりの後ろへ回り膝をついて、彼女の長い髪に触れた。慣れた手付きで持ち上げ、頭の高い位置に纏め解いたばかりの赤い紐で髪を縛る。先程まで彼がしていたヘアスタイルと同じものになった。

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