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【R18】月夜に咲く華【BLEACH】

第7章 死神編【後編】



「いや、それは分かってるって。俺が聞きてェのは、なんの為にそんなモンが必要なのか聞いてんだ。虚退治にレコーダーなんて必要無いだろ?」

彼の問い掛けにゆうりは口を噤む。理由なんて答えられる筈がない。言葉を選ぶように視線を逡巡させる。一向に口を開こうとしない彼女に阿近は、細く長い溜息を吐き出した。そして片手を持ち上げるなり彼女の後頭部へ添え、そのまま強引に引き寄せる。突然彼の胸元に頭が押し付けられたゆうり睫毛を瞬かせ上目に阿近を見上げた。

「阿近…。」

「言いたくねェなら無理に聞かねーよ。…けど、昔馴染みの女が切羽詰まった顔で此処に顔出したかと思えば変な注文して来るし、心配の1つ位する。」

「…阿近ん〜〜…!!」

彼の言葉にゆうりは瞳に涙を溜め、両手を再度背中に回し、強く服を握り額を胸板へ押し付ける。けれど、泣いてなるものか。泣いてしまえば、まさに彼らの思うツボだ。心を強く持たなければ。

「最近瀞霊廷で何かと悪い事ばっか起きてんだろ。話は俺も聞いてる。妙に人の異動も多いしな。」

「…母も、海燕さんも死んでしまうし、一心さんは居なくなっちゃうし、もう嫌なの…誰かがこれ以上居なくなるの嫌なの…。」

一刻も早く彼らの罪を暴くには、会話を録音し総隊長へ告げるのが1番早い。…些か情報としては不十分かもしれないが。無いよりは良いだろう。だからこそこの十二番隊へ来たのだ。多分、涅に頼めば根掘り葉掘り理由を聞かれるだろうと懸念したゆうりは阿近を頼ったのだ。この判断はどうやら間違いでは無かったらしい。

「分かった、お前が欲しいと思ってるモンを作ってやる。レコーダー位なら3日で作れるから、また取りに来いよ。」

「うん、ありがとう。」

顔を上げて微笑んだゆうりの髪へ五指を通しゆっくり撫で下ろす。苛立ちと不安で揺らいでいた感情が落ち着きを取り戻すと、彼女は阿近から離れようと腕の力を緩める。…が、髪を撫でた手が腰へ添えられたままビクともしない。離れる事が許されずゆうりは困惑し、阿近の瞳を見詰める。

「ずっと言いてぇ事があったんだけど。」

「何…?」

「……お前、もっと此処に来いよ。元々十二番隊がお前の居場所だっただろ。仕事の用事以外でも顔見せろ。」

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