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【R18】月夜に咲く華【BLEACH】

第7章 死神編【後編】



地獄蝶を連れて穿界門へと足を運んだゆうりはそのまま躊躇いなく門を潜る。現世に向かう最中、藍染と明確に敵対してから常に持ち歩く様にしていた外套に身を包む。これで万が一彼らが現世へ赴いていたとしても直ぐに自分に気づく事は無いだろうと思った。そもそも、死神を原因不明の死に至らしめている何かと運良く出逢えるかも分からなかったが。

「ここが鳴木市…。」

夜更けという事も有りとても静かだった。有るのはコンビニの燈明かりと一定間隔で並べられた街灯だけがぼんやりと照らす。空は厚い雲で覆われており、ザアザアと雨が降り注いだ。…この隣街の何処かに、浦原が居る。そう思うと心臓が逸った。しかし今はそれが目的では無い。私情は捨て、街の中を歩いていると遠くの方から一心の霊圧を感じた。衝突している霊圧が無いので戦って上がっているというより、故意に上げているように思える。

「あっちね。」

外套のフードを深く被り少しだけ鬼道を練り込み己自身を背景へ馴染ませ、濡れた地面を蹴った。一心の居るであろう場所へ向かう。彼の居る場所へ辿り着いた頃、既に戦闘は始まっていた。ゆうりは直ぐに母と再会した日と同様に辺りへ霊子の糸を張り巡らせる。

「あれは…黒い虚……。」

以前ゆうりが戦い、そして逃した虚だった。黒い鎧のようなものに身を包んだ殆ど人型のそれと一心が戦っている。分かることは己と戦っていた時よりも速さも霊圧も比にならない程上がっているという点だ。確かにこの虚が相手ならば一般隊士が殺られる事も納得する事は出来る。ゆうりは加勢をしようと斬魄刀に手を添えた。駆け出そうとしたその時、霊糸が何もいない場所で揺れる。反射的にそちらへ顔を向けた。

「燃えろ!"剡月"!!」

一心が始解して虚へ斬り掛かろうとしたその時、霊糸が揺れた場所から彼の背中に向けて斬撃が飛んだ。それは一心の背を深く切り裂く。虚と対峙している方向とは真逆から、誰も居ない筈のただの背景から仕掛けられる攻撃に一心は後ろを睨む。
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