第7章 死神編【後編】
秋のままの気温が1番丁度いいのになぁ。そんな事を思いながら歩いていると懐へ入れている伝令神機が鳴動した。ディスプレイを見ると、知ってはいるが名前は登録されていない番号が表示される。ゆうりは直ぐに人の居ない場所へと移動し、電話に応えた。
『もしもぉ〜し?ゆうりサンの携帯ですかぁ?』
「……。」
『…おい、反応せや!間違えたかと思うやろ!!』
「…あ…いや、ごめんなさい。真子の声聞いたら、なんか凄い安心しちゃって。」
尸魂界で色んな事が起ころうと、何も知らない彼の声は変わらない。それがやけに心地好く思えた。様々な感情が湧き上がりズキズキと痛む心臓近くの服を握る。
『なんや、なんかあったんか?』
「…うん、悪い事が沢山起こってて、嫌になりそう。」
『しゃーないな、オレに話してみ。』
ゆうりは藍染に敵視されている事、母親と海燕を殺された事を混じえて改造虚がかなり造られている事、図書館で調べた結果導き出された彼がしようとしている事を全て伝えた。平子は相槌を打ちながら口を挟むことはせず静かに聞いてくれる。それでも、市丸の事だけは言えずに伏せてしまった。彼は彼なりのやりたい事があるのだ。邪魔だてはナシだと約束した。だから、平子に教える事は出来ない。
『…なるほどなァ。隊長なってまた随分好き勝手しとるやんけ。』
「今は3人とも隊長格だから…。何かしてても仕事の一言で片付けられるものね。」
『せやから現世残れ言うたやろ。』
「嫌だよ、これからもっと色んな悪い事起こるかもしれないのに何もしないままそっちに行くなんて。」
『わーっとる、ゆうり…もしもコッチに来る事になったら"空座町"っちゅう場所に来や。此処にオレらは今拠点張っとる。多分喜助もおるで。』
「本当!?」
『せやから喜助の名前聞いただけでテンション上がりすぎやろ!』
「ごめん、つい…。空座町ね。覚えておくよ。」
『ん…あんなァ、オマエまるで自分1人の責任みたいに頑張っとるけど、今ゆうりが対峙しとる問題は尸魂界全体の問題やで。誰にも相談出来んのは分かるけど、抱え過ぎると自分が潰れる。オレの番号覚えとるやろ。なんか辛い事あったら掛けや。』
「……うん、ありがとう真子。」
『頼りになる男やろ。惚れてええんやで。』