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【R18】月夜に咲く華【BLEACH】

第7章 死神編【後編】



「…小さい頃はごく普通の母だったの。私が小学生に上がる位からかな…母が浮気したみたいで父と離婚して…本当はお父さんについて行きたかったけど、浮気するような女との子供の顔は二度と見たくないって言われちゃって。母は母で、浮気相手と再婚する気満々だったから、私が疎ましかったみたい。しかも、新しい父は母より私を構うから余計関係が悪化しちゃって。私が死んだから、邪魔者が消えて二人とも幸せになったのだと思ってたけれど、そうじゃなかったんだね…。」

再会した時の彼女の形相を思い出し、なんともやるせない気持ちになった。別に死にたくて死んだわけでもないし、2人の為に死んだわけでもない。けれど心のどこかで、自分が死ぬ事によって彼女は幸せになったのだと信じていたのだ。
土を被せ、石を立て海燕達と揃って両手を合わせる。どうか次生まれ変わるその時は、幸せに過ごせますように。それだけをただ強く祈った。
一方、外套に身を隠し一部始終を全て見ていた藍染、東仙、市丸は3人の姿を見て静かにほくそ笑む。

「黒棺の威力は中々のものだったな。回帰能力は、まだ使いこなせていないらしいね。」

「今制御装置を付けてあの威力なのであれば、外した時の威力はそこが知れませんね。今の内に手を打ちますか。」

「彼女は私の手で堕とすと決めたんだ。余計な事はするな、要。」

「もっと取り乱す思うたけど、案外冷静やったなぁ。」

「冷静だったらあの程度の虚に黒棺は打たないだろう。危うく志波海燕と朽木ルキアを巻き込む事態だった。相当動揺したと見ていい。」

藍染は喉を鳴らし笑った。その時、墓に向け手を合わせていた彼女が勢い良く振り返る。目が合ったような気がした。
しかし、外套を使用している我々の姿を見ることも、霊圧を捉えることも叶わぬ筈だ。ただの気の所為だと己の内へ言い聞かせたが肌を刺す殺気に加え彼女の唇がハッキリと動くのを見て、口元を歪めた。
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