第7章 死神編【後編】
「あ…あそこかな。凄い、森凍ってる…。」
季節は夏が過ぎ去り秋に移り変わろうとしている時期。にも関わらず森の1部は何故か所々凍っておりやけに寒い。凍結した場所の中心に到着すると、海燕とルキアの技と技がぶつかっていた。流水系の海燕に対してルキアは氷雪系だ。相性でいえば、ルキアの方が優位に見えるがそこは流石に経験の差でどうとでも埋まるらしい。
「オラ朽木!!もっと集中しろ!」
「くっ……!初の舞、月白!」
「おいおい、それじゃあ敵に塩を送るもんだろうが!」
空へ飛び上がった海燕は大気中の水分を操り無数の針をルキアに飛ばす。咄嗟に刀で円を描きそれを凍らせると、凍結された針は寧ろ鋭さを増して彼女を襲う。刺さる、そう思うと反射的に目蓋が降りた。針はルキアの両袖を捉え地面に突き刺さる。強制的に背中側を地面へ縫い付けられた彼女がゆっくりと瞼を持ち上げると同時に、槍の鋒が喉に充てられた。
「お前なぁ、水凍らせたらこうなるに決まってんだろ。針そのものを狙うんじゃなくて、自分の前に打って盾にする方がまだ良いぜ。」
「お、仰る通りです…。」
海燕はヤンキーのようにしゃがみ込み突き刺さった針を抜く。戦闘も一段落した所でゆうりはひょっこりと顔を覗かせた。
「お疲れさまです。斬魄刀を使った鍛錬を始めたんですね。」
「おう、またサボりか?つーかお前斬魄刀置いて来たのかよ、流魂街に出るなら所持しても許されるだろ?」
「そうなんですけど、非番だし置いて来ました。ルキア、じっとしててね。」
ゆうりがルキアの頬へ手を寄せると淡い光が包む。白い肌を針が1本掠ったらしい。治癒霊力を充ててやればあっという間に傷口は閉じた。
「ありがとう、ゆうり。斬魄刀を始解出来るようになったは良いが、扱えるようになるのはまだまだ先だな…。海燕殿に手伝ってもらっては居るが、思うようにいかぬ。」
「わかるわかる、私も最初斬魄刀が長すぎてどうすればいいか分からなかったもん。」
「俺みてーに槍だったり、ゆうりみてーに大太刀になる奴も居るし、形も能力も始解するまでわかんねェからな。使いこなせる様になるのはそれなりに時間は掛かる。皆同じだ。気に病む事はねェよ。」
「いててて…いつも思いますが海燕殿!強いです!」