第7章 死神編【後編】
駐在任務を終え、尸魂界で過し始めた日から実に3年の時が過ぎた。この期間、多少のいざこざはあったものの目立って悪い事が起こるわけでも無くとても平和な日々を過ごせたと思う。藍染達も、素生が割れてからというものゆうりへ何もして来ず、じっと身を潜めている様子だった。それはそれで不気味に思えたが、彼女自身わざわざ彼らに突っかかりに行くつもりは毛頭ない。
卍解に関しては、習得にかなりの難色を示しており相変わらず胡蝶蘭からは教えて貰えず仕舞いとなっていた。なんとも進展を得られず悶々とする日々を過ごしている中、1つ大きく変わった出来事が起きる。
「これで今日から俺の方が上官だな。」
「そんなまさか…入隊時にそのまま三席だなんて…。」
「日番谷さん、でも良いんだぜ。」
「生意気言うじゃない……入隊おめでとう、冬獅郎。」
「どうも。」
学生だった日番谷は死神になった。しかも、天才児と謳われる彼は入隊が決まると同時になんと十番隊の三席を用意されたらしい。自分より上の立場になるとは思っていなかった為驚きはしたが、それ程の実力を持っている事を純粋に素晴らしいと思う。
今は死覇装に身を包んだ彼と初めて出会った森へと訪れており、太い枝の上に並んで座りながら話をしていた。
「十番隊だと一心さんの所だね。隊長、副隊長どっちもサボるから大変でしょ。」
「全くだ…ゆうりも大概サボり魔だと思っていたが、あの2人の方が余程サボる。」
「あのね、何度も言ってるけど私はサボってないの!仕事終わってからここに来てたんだから。」
「はは…分かってる。冗談だ。」
から笑いを浮かべた日番谷は、会話はしているものの何処か上の空というか、元気が無いようにも見える。思い過ごしだろうかとも考えたが、気になってしまったからには聞かずには居られず、ゆうりは顔をのぞき込ませた。
「……ねぇ冬獅郎、何かあった?」
「何もねぇよ、いつも通りだ。」
「そう?それならいいんだけど。冬獅郎は確かに私より上の立場だけど、経験で言えば私の方が長いから。相談ならいつでも乗るよ!」
「…頼りになるのか?」
「失礼ね!これでも場数は踏んでるわ。」
「たしかに。……相談とは違うが…ゆうり、草冠って奴を覚えてるか?」
「草冠…?あぁ!魂葬実習の時冬獅郎と一緒に居たね。彼がどうしたの?」