第7章 死神編【後編】
「ちょっとゆうり!アンタもこっち来なさいよー!」
「はぁい!!」
乱菊に呼ばれゆうりは忙しなくパタパタと奥のテーブルに去って行く。京楽、伊勢、浮竹、海燕、一心、白哉はそんな彼女の後ろ姿を見送った。
「やぁ、あの子も随分明るくなったねぇ。」
「本当だな。見違えたよ。」
「そういや俺以外ゆうりちゃんの事昔から知ってんだったな。」
「志波隊長はゆうりさんが居た時丁度駐在任務中だったそうですね。」
「そうなんだよなァ!だからガキの頃のあの子は知らねーんだ。」
「控えめでどちらかといえば大人しかったんスよ。少なからずあんな生意気では無かったな。」
「言う割に嬉しそうじゃねーの、海燕。」
「そりゃそうですよ、歳相応に笑ったり悩んだり怒ったりしてんだから。すげー可愛い妹って感じですかね。」
杯に並々と注がれた酒を一気に煽り少し離れた場所で松本に肩を組まれ絡まれているゆうりを見て海燕は優しく瞳を細めた。白哉は彼の横顔を見て鼻を鳴らす。
「ふん…それが、妹を見る表情とは思えぬが。」
「あァ!?オメーこそちょっとゆうりに過保護過ぎるんじゃねーの?」
「そのようなことは無い。常に平等だ。」
「ケッ、よく言うぜ。俺らが誘っても飲みの席なんざ来ねーくせに。」
「何度も言っているだろう、兄らと過ごすより鯉の面倒を見る方が時間を有意義に使える。」
「ゆうりちゃんに誘われたら残るのにぃ?」
「京楽…私は総隊長よりゆうりが勝手に隊舎を出ぬよう見張るように仰せつかっている。ここに残るのは当然の事だ。」
「ははっ、素直じゃないなぁ、どいつもこいつも。」
「全くですね。」
茶化す一心と京楽はさぞ愉快そうにヘラヘラしながら酒を飲み、浮竹は大人気ない彼らに眉を下げて言葉を零し伊勢は深く頷いた。
一方、松本に絡まれたゆうりは彼女にガッツリと肩を組まれ持っていた酒瓶を高く掲げる。
「いやぁ、やっぱ現世のお酒は美味しいわぁ!」
「沢山買ってきて良かったです!」
「助かるわぁ…あっ、修兵アンタ全然飲んでないじゃなぁい!!もっと飲みなさいよ!」
「え゛っ、俺は…んぐっ!!!」