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【R18】月夜に咲く華【BLEACH】

第7章 死神編【後編】



体調もすっかり回復し、普段通りの日々が戻ったある日の事だ。ゆうりは仕事の息抜きによく散歩をする様になった。執務室に篭って休むより、少しでも身体を動かしている方がどうも頭が働くらしい。

「もうすぐ夏か…早いなぁ。」

歩きながら考える事は、殆ど同じだった。藍染達の事について。あれ以来藍染はおろか、市丸すら接触して来ない。それが不可解に思う。特に市丸は用がなくても絡んで来たというのに。

「何をしても変わらない、か……。」

確かに、相手は全員隊長で、己はただの席官持ちのいち隊士だ。彼らが裏切ろうとている、と触れ回ったところでどちらの言葉を信じるかは火を見るより明らかである。だから、この尸魂界で誰かに相談する気は一切無い。
ゆうりは目の前の小石を蹴る。何だか、友人は沢山出来たはずなのに未だ独りぼっちみたいだ。何処かやるせない気持ちになって、立ち止まり息を吐く。その時、大きな霊圧が後ろから迫って来るのを感じた。この絡み付くような感覚は2度目だ。

「よォ……久しぶりじゃねェか。」

「ざ、更木隊長、草鹿副隊長……。」

砂利を踏みしめる音に振り返るとそこには3年前と変わらない凶悪な笑顔を浮かべた更木剣八と、その肩には余りに対照的な無垢で純真な顔で手を振る草鹿やちるが居た。更木の片手には刃の欠けた斬魄刀が握られており、嫌な予感がしたゆうりは頬を引き攣らせ一歩身を引く。

「オイオイ、折角見つけたってのに逃げる気じゃねェよなァ?今は六番隊だろ?前より強くなった所見せろよ。楽しく殺り合おうぜ!!」

「わぁっ!!こんな所で斬魄刀なんて抜けませんよ!」

「うるせェ!さっさと抜け!!隊長命令だ!!!」

「私の隊長は白哉です!」

無茶苦茶な事を言いながら刀が振り降ろされ反射的に飛び退きそのまま走った。当然更木は鬼の様な形相で追って来る。なんだって病み上がりにこんな恐ろしい男の相手なぞしなければならないのか。そもそも瀞霊廷内で不用意に斬魄刀を使えばどんなお叱りを受ける分かったものじゃない。

「逃げんな!」

「じゃあ斬魄刀仕舞って下さい!!」

「斬り合いに斬魄刀無しなんざ有り得ねェだろうが!!」

「斬り合いする気は有りません!」

「ッたく、めんどくせぇ…。」
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