第7章 死神編【後編】
「ッ…け、結構です…。」
藍染の両肩に手を添え思い切り身体を押し返す。彼は喉を鳴らし低く笑う。ギンと身体を重ねたと聞いた筈だが随分と初心な反応を見せるものだ。
「さて、これ以上ここに留まるのは良くないな。いい加減染谷くんの部屋に向かおうか。」
「…そのキャラ作り、どうかと思います。」
「失礼だな。知っての通り、優しい藍染隊長はとても人気があるんだよ。」
「中身がこんな腹黒狸だと知ったら女の子たちは卒倒するでしょうね。」
「…言ってくれるじゃないか。安心したまえ、気付かれることは無い。」
「心配なんてしてませんよ。もう話したい事は有りませんよね?送らなくて結構です。」
「つれないな。僕が今1番興味を持っているのはキミだというのに。折角だ、茶番だろうが最後まで見送ってあげよう。」
「傍から見たら病人を送ってあげる優しい藍染隊長って映るわけですね。恐ろしい人。」
「真実を知って尚、牙を向けず虎視眈々と力をつける獣の方が僕は余程恐ろしいよ。」
「………私、藍染隊長嫌いです。」
「それは嬉しい限りだ。染谷くんが負の感情を向けているのは、おそらく僕を除いて居ないだろうからね。」
…本性を表した途端、なんてやりにくい男になってしまったものだ。しかし、素を見せたという事は少しでも心に触れるチャンスがあるという事。絶対に止めてみせる。強く心に決めたゆうりは繋いだ手にキュッと力を込めた。
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