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【R18】月夜に咲く華【BLEACH】

第7章 死神編【後編】



「随分、頓狂な声を上げるね。博識なキミなら分かると思ったが。」

「…いい意味だと健康、可憐な愛情。悪い意味だと…嫉妬と、絶望、悲嘆です。」

「よく調べているじゃないか。斬魄刀が花の名前だからかな。」

「えぇ…現世で暇な時見ていました。」

静かに口角を吊り上げた藍染は繋いでいた手を持ち上げるとそのまま壁へ押し付けた。隻手をゆうりの顔の横へ置き腕を着いて壁と己の間に彼女を閉じ込める。ゆうりは咄嗟のことに理解が出来ず眉を寄せた。そして脳裏に、過去似たような事があった事を思い出す。

「…私はどちらの意味でその花を手向けたと思う?」

「……悪い意味、ですかね。」

「その通りだ。」

壁に着いていた彼の骨ばった人差し指が顎先へ添えられ簡単に持ち上げられる。茶色い瞳はまるで深い闇を抱えてるかのように何処までも暗く見えた。ゆうりは確信した。学生の時、私が追い掛けたのは市丸では無い、藍染だったのだ。あの時感じた違和感の正体がやっとはっきりした。鏡花水月を使ったのだろう。だから、気付くことが出来なかった。そして今、目の前の彼はわざと同じ事を繰り返そうとしている。

「…あの、藍染隊長……困ります。」

「それはおかしな話だ。こういう事が慣れていない、という訳ではないと思っていたが。」

「慣れてません、恥ずかしいです。」

「表情1つ変えず返す台詞では無いな。先程の言葉を変えてもう一度問おう。副隊長ではなく……私の仲間になる気は無いかい?ゆうり。」

「…おっしゃる意味が、分かりません。私は元より護廷へ身を捧ぐと誓った身。その時点で、死神である藍染隊長とは仲間の筈です。」

「…ふむ。なるほど、あくまでシラを切るつもりか。それも良いだろう。」

藍染は、小さく鼻を鳴らし笑った。ゆうりは彼から視線を逸らした。矢張り、現世での事はバレている。隠した所で今更無駄だったのだ。

「とても惜しく思うよ。キミの力は私もかっている。逃すのはとても惜しい。…覚えておきたまえ。ゆうりに出来る事は何も無い。私を止めることは出来ない。図書館に向かい、私の目的を掴んだとして…何をしようが、何もかも無意味な事だ。」
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