第2章 過去編
「なんや聞いとらんの?死神になると成長はゆっくりになるんや。個体差は有るけどな。100年は余裕や余裕。ピッチピチの10代の見た目保てるで。」
「100年!?考えたことも無かった…だからひよ里ちゃんは歳上なんだね。」
現世であれば死んでるか辛うじて生きているかの年齢が、ここではまだ10代とは…。己の知らない事がまだまだ有るという事実にも驚きが隠せなかった。
それからゆうりは少しの時間彼と他愛無い話をしていた時だ。不意に執務室の扉がノックされる。
「入るぞ。」
「拳西か。珍しいな。」
「こんにちは、六車さん。」
「おう。ゆうりも居たのか。」
六車は部屋に入ると襖を閉めゆうりの隣、平子の目の前に座った。表情から察するにただ雑談しに来た訳では無さそうだ。それを察したゆうりは六車へ視線を向ける。
「…あの、席外しましょうか?」
「ん?あァ、別に構わねェよ。ただちょっと静かに聞いとけ。」
大きな掌が彼女の頭へ乗せられガシガシと乱暴に撫でられた。ゆうりは乱れた髪を手ぐしで整えつつ彼の話に耳を傾ける。平子もやや面倒くさそうではあったが話を聞く姿勢に入った。
「で、わざわざオレの部屋来たっちゅー事はめんどい話なんやろ?」
「ヒュージホロウが現世に現れた。数が5体。集団で行動してるらしく手を焼いてるらしい。」
「はぁー、そら難儀な話やな。」
「内一体が雑魚を呼び寄せ統治する厄介な能力持ちらしくてな。白は別件の任務に着いてるしお前の所もだろ?他も出払ってる所が多くてな…何人か殺られてる死神も居るしこれ以上の被害は避けてェって事でジイさんが俺とお前で行けってよ。」
「…最近何かと厄介な任務多すぎんか?」
「全くだぜ。とにかく、次の出現場所の特定次第行くぞ。出る準備しとけ。」
「リョーカイ。」