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【R18】月夜に咲く華【BLEACH】

第7章 死神編【後編】



「今日は少し暑いな…。」

白哉に頼まれた書類を一番隊へ提出した帰り。何故だか今日はやけに足が重いような気がした。仕事もひと段落し、久方ぶりに森へ向かっていた途中ふと背後に気配を感じる。銀色の髪を靡かせ振り返ると、今まさにゆうりを抱き締めようと伸ばされていた手がピタリと止まった。動きを止めた男は残念そうに頭を掻く。

「あらら、ばれてもうた。霊圧ちゃーんと消しとったんやけどなぁ。」

「何かギンの気配ってわかりやすいのよね。久しぶり。」

「そないにボクの事意識してくれてはるの?」

「そういう訳じゃないけど…というか、何か用?」

「たまたま見つけたから声掛けただけや。3年会えへんかったし。髪また伸びたやろ。」

男にしては白く細身な片腕が再度彼女に向けて伸びる。銀糸のように細く柔らかい髪をひと房持ち上げ唇を寄せた。彼にしては恭しい仕草にゆうりは怪訝そうな顔で一歩後ずさる。普段しないような事をする時の彼は絶対何か企んでいると思う。

「嫌やなぁ、そない逃げんでもえぇやん。」

「また何かしようとしてるのかと思ってつい…。」

「別に何も……なぁ、ゆうり顔赤ない?」

「え?そうかな…自分じゃ分かんないよ。」

彼の言葉に目を丸めたゆうりは両頬に掌を置く。確かに、少し熱い気もする。けれど別段市丸の動きや言葉に何か照れたりしたわけでは無い。市丸はしばらく口を閉ざした後、徐に髪に触れていた手をそのまま彼女の額へピタリと押し付けた。

「……熱あるんとちゃう?身体怠くあらへんの?」

「言われてみれば…ちょっと怠い気もするけど…大丈夫、仕事出来ないほどじゃないから。」

「駐在任務から戻ったばっかやろ。ちゃんと休みや。」

「平気だって。そんなにヤワじゃない……っと、あれ…。」

額に添えられた手を払い市丸の隣を抜けようとした刹那、ぐらりと視界が揺らいだ。咄嗟に差し出された腕が倒れかけたゆうりの身体を支える。

「…言わんこっちゃないわ。倒れるまで体調不良の自覚無いて、元四番隊としてどうなん?」

「か、返す言葉も有りません…。」

「ほんま、手のかかる子やわぁ。」
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