第7章 死神編【後編】
ゆうりはルキアの手を取りブンブンと上下に揺らした。自分の言葉を全く聞かずペースを乱されたルキアは目を真ん丸に見開きなすがままにされる。
まるで海燕と初めて出会った時の事を思い出して少しだけ笑えて来た。
「あ、やっと笑った。海燕副隊長、ちょっとだけルキアと話して来ても良い?」
「ダメだつっても聞かねーだろうが。」
「よくお分かりですね。適当な時間に戻ります!」
「え!?ちょっ……ゆうり殿!?」
「1日くらいサボっても大丈夫!」
「えぇ…!」
戸惑い海燕に助けを求めるように視線を送ったが、彼は片手を持ち上げて、しっしと払うだけだった。結局ゆうりに連れられ瀞霊廷の外へ出る。着いたのは甘味屋だ。ルキアに一声掛けもせずそのまま中へ入って椅子に着く。
「ここね、前に海燕さんに連れてきてもらった事があるの。好きなの頼んでいいよ、お金出すから。」
「しかし…。」
「私お団子にしよっと。ルキアどうする?」
「で、では餡蜜で…。」
「餡蜜ね。ここの美味しいんだよ。」
店員を呼び注文を終えると、まだ緊張している様子のルキアに向かい直りゆうりは頬杖を着いた。目の前の彼女は両手を膝の上に置いて控えめにゆうりをちらりと見遣る。
「ルキアは今年の春から死神になったんだよね。私、特進クラスに友達が3人居るの。今度その子達とお祝いするんだけど来る?」
「いえ、私など行っても困るでしょうし……いたたた!!」
言葉を濁らせ俯きがちになったルキアの頬へ手を伸ばし摘んでから思い切り横に引っ張った。涙を浮かべ悲鳴を上げる彼女にゆうりはケラケラと笑う。
「ふふ、思いっきり抓ったんだもの。そりゃ痛いよ。」
「な、なっ…いきなり何するんですか…!」
「ルキア、友達作り苦手でしょ。」
「う……。」
「私もすごく苦手だったの。他人ってなに考えてるかわからないし、引っ込み思案だったから自分から輪に入るとか、怖くてできなかった。」
「…私には、ゆうり殿がとてもそういう風には見えません。」