第7章 死神編【後編】
「……好きにするが良い。」
「そうするわ。」
瞼を降ろし白哉は再び茶を啜った。ゆうりは落雁を紙に包んで懐に仕舞いそのままの足で十三番隊の隊舎へと向かう。
十三番隊は六番隊とはまた違い、朗らかな雰囲気で隊士達同士も仲が良さそうに見える。行き交う彼らと簡単な挨拶を交わしながら、浮竹達の執務室へ訪れた。
「六番隊四席の染谷です。入ってもよろしいでしょうか?」
「あぁ、構わないよ。」
扉の奥から返事を聞くと意気揚々と襖を開いた。中には浮竹のみ執務机に向かっており海燕の姿は見当たらない。
「あれ、浮竹隊長お1人ですか?」
「今日は海燕が新人達に稽古を付けていてね。ここではなく稽古場に居るよ。彼に何か用事があったのかい?」
「いえ、海燕副隊長というより新しく入って来た子に会いに来たんです。」
「もしかして、朽木の事か?」
「はい!義妹に迎え入れたと聞いてどんな子かなと思いまして。」
「なるほどな。彼女も今は稽古を付けてもらってる筈だよ。俺もそろそろ休憩しようと思っていたし、一緒に稽古場に行こうか。」
「お願いします!」
筆を収めた浮竹と共に稽古場へ続く廊下を歩く。近付くに連れて威勢のいい掛け声が聞こえてきた。
「今日はお体の調子良いみたいですね。」
「そうだな、ここの所かなりいいんだ。俺も部下達に稽古を付けてやりたいんだけど、すぐ海燕に止められるんだよなぁ。」
「それじゃあ、浮竹隊長に稽古を付けて貰えたら凄く貴重ですね。私も付けてもらいたいな。」
「君は充分強いだろう。まだ強くなるつもりなのか?」
「はい。誰よりも強くなる事が今の目標です。」
「はは、それは頼もしい限りだね。ここがうちの稽古場だ。」
ガラッと音を立てて扉を開く。どうやら新しく入隊した隊士を中心に稽古をしている様だった。浮竹とゆうりの存在にいち早く気付いた海燕は1度、素振りを行う隊士達の手を止めさせる。同時に彼らは浮竹へ身体を向け頭を下げた。
「「「お疲れ様です、浮竹隊長!」」」
「皆お疲れ!そんな気にしなくて構わないよ。ちょっと見に来ただけだからな。」
「ゆうりまで来たのか?なんだってわざわざ稽古場まで見に来たんだよ、冷やかしかァ?」
「違いますよ!…新しい隊士が沢山入ったって聞いたので。」