第6章 死神編【駐在任務編】
「味方にはならないよ、絶対に。殺す気で来るっていうなら…私は誰よりも強くなる。殺さなくても止める手は幾らでも有るでしょう?私は殺さずに、彼らを止める方法を見付けたい。」
「…ゆうりがその気なら、オレらとは目的がちゃう。戦うことになるかもしれんぞ。」
「それでも私には藍染隊長達を殺す事は出来ない。彼らを殺そうとするなら、私は真子達とも戦うよ。誰も死なせないために。」
「楽観過ぎるとちゃうか。脱退したといえオレらは隊長と副隊長や。全員止められると思うとんのか?」
「思う、思わないじゃないの。全部止める。全て最良の形で終わらせる。その為なら私自身はどうなろうと、何をされようと構わない。…真子達が向かって来るなら指輪もネックレスも捨てて、本気で止めるから。」
滔々と語る彼女の瞳は何処か冷たく感じてゾクリと背筋が粟立った。かつてゆうりがこれ程までに冷え切った目をする事があっただろうか。記憶を辿ってもそんな姿は出て来ない。何故彼女がそこまでして彼らの生へ拘るのかが分からなかった。
「…ゆうりの目的は何なん?」
「そんなの決まってるじゃない、好きな人達を護ることだよ。」
「例え喜助を嵌めた奴だとしてもか?」
「…えぇ。もしも喜助さんや、皆が殺されてたら私もきっと真子達みたいに裏切り者を殺すって思ってたかもしれないわ。けど、生きてたから。赦すわけじゃないよ。でも、死んで欲しいとは思ってない。」
「無茶苦茶やんけ…。」
ベンチの背もたれに身体を預け上を向いて深々と息を吐き出した。彼女が味方なのか敵なのか汲み取れない。…いや、味方であり敵にも成りうる。正直殺す事そのものが目的という訳では無い。"殺さないと、止まらない"というのが平子の考えだった。だから、殺さずに止まるというのならそれでも問題無いと言えば、無い。然しながら彼の強さと残虐な性質をよく知っている平子からすれば、彼女の考えは甘過ぎるのだ。
「…私を敵だと思うならそれでも構わないよ。」
「敵とは思わん、今はな。けど、覚えとき。甘さだけで救えるもんは無い。オレらが藍染を殺そうとしとんのは復讐だけやない。殺す事がアイツを止める方法やと思うとる。そんだけ藍染は厄介で強い。せやから、殺さずに止める事が絶対に出来んと判断したらオレらはゆうりを押し退けてでも殺す。それでええか?」