第6章 死神編【駐在任務編】
約束していたクリスマスの日が訪れた。ゆうりは早めに目を覚ますと紺の丸ネック、シンプルな白のハイウエストプリーツチュールミニスカートの上からマリンデザインの薄桃色トレンチコートに身を包みグレーと白の小さめなハンドバッグを用意する。髪型も少しだけ弄り両サイドから編み込み風ハーフアップにして緩く巻いた。身支度を終えて朝食を摂り終わった頃、インターホンが鳴る。
玄関へ向かい黒のファー付きショートブーツを履いて扉を開く。訪れて来たのは、約束をしていた男だった。彼は真っ黒なコートに身を包んでおり、ゆうりを見るなり固まる。
「おはよう、真子。迎えに来てくれてありがと……真子?」
「…おォ、いや……似合うで、髪型も服も。ごっつ可愛ええ。びっくりしてもうたわ。」
「ふふ、ありがとう。デートって約束だったから少しでも良く見えるように頑張ったの。」
髪の毛の先を摘みはにかむ姿に平子は己の心臓がぎゅっと締め付けられるような感覚に口を噤んだ。正直ゆうりにとってちょっと出掛けるぐらいに考えていると思っていたのに、しっかりデートと認識していたようだ。それが素直に嬉しく思えるし、何より自分の為に準備をしていたのかと思うと愛らしい。思わず緩みそうになる口元を掌で隠す。そうして小さく咳払いをしてから手に持っていた小さな紙袋を差し出した。
「これ、クリスマスプレゼントや。今の髪型によう似合いそやし、先渡しとくわ。」
「えっ?ありがとう!じゃあ私も真子に先渡しておくね。皆のも有るんだけど、荷物になるし帰る前に取りに来て。」
「わざわざアイツらの分まで用意したん?律儀なやっちゃなァ。」
「お世話になってるから。開けてもいい?」
「ええで。オレも開けてええの?」
「勿論。」
ゆうりは紙袋の中の赤く高級感の有る小さな箱を開けた。中には綺麗な装飾が施された黒と白のシンプルなリボン型のバレッタが入っている。どんな服とも合わせやすそうなものだ。
「わぁ…流石アパレルで働いてるだけあって、真子が選ぶものはいつもお洒落だね!ありがとう!」
「ネックレスとかそういうアクセサリーでもよかったんやけどオマエ結構色々付いとるからなァ。ゆうりの髪綺麗やし、髪飾りにしたったわ。後ろ向き。」