第6章 死神編【駐在任務編】
「お前がやられるの珍しいじゃねェか。本当に虚だったのか?」
「多分虚だったと思うんだけど…ハッチさん、回帰能力で治してもらってもいい?戦闘後試してみたんだけど全然駄目で。実際どんな感じで治るのかも見たいの。」
「構いませんヨ。」
「ありがとう!」
ゆうりは死覇装の襟元を掴むと肩口が見えるように肌を晒した。虚の穴とまではいかないが完全に貫通しており血がしとどに流れている。痛みは強くまるで肌が焼かれているようだったが、以前背中に傷を作った時よりは些かマシだった。晒された箇所に淡く白い、先程ゆうりが見せたような光が包む。砕けた骨から神経、筋肉、皮膚と徐々に元の形を形成していく。数分経つ頃には完全に元に戻っていた。当然痛みも無い。
「凄い…やっぱりハッチさんの鬼道は完璧ね!私もしっかり使いこなせる様にならないと。」
左手を持ち上げ掌をグーパーと開閉させて感触を確認する。褒められた事に有昭田は満足気にニッコリと笑った。平子は胸元までガッツリはだけさせてるゆうりに片手を頭に手を添え細く長い溜息を零し、彼女の襟を掴むと強引に胸元を閉じた。
「あのなァ、女が男ばっかの場所でいつまでも肌晒すなや。」
「あ…ごめんね。」
「ンな事言って、ガン見してたくせになァ?」
「見るに決まっとるやろ!!」
「…遭遇した虚の話していい?」
ゆうりは先程戦った虚の事を彼らに話すと、3人は顔を顰めた。平子と愛川に至っては彼女以上に死神としての経験は長いが話に聞いた異質な虚と出会ったことは1度もない。
「特殊な虚となるとやっぱ藍染の実験体っつー可能性が高ェな。」
「せやなァ。元々ゆうりしか霊圧感じなかったっちゅー時点でその線が強いわ。」
「人型でメノスの様な虚閃デスカ…。そもそも虚自体大きく変化出来る可能性を秘めているのかもしれませんネ。」
「……ここらが潮時や。一旦オレらも改めて身を潜めんとアカン。」
「え?」
平子の言葉に耳を疑った。まるでここを去るような言い方だ。言い知れぬ不安に背中側で指を組みキュッと力を込める。