第6章 死神編【駐在任務編】
始解しようとしたその時、虚が空を見上げた。まるで何かの声を聞いているようにも見える。不可解な動きにゆうりが怪訝そうに様子を見ていると、片腕を失った虚は突然遠くに逃げてしまった。追いかけようにも上手く霊圧を消されてしまい見失う。どうやら霊圧のコントロールが随分上手いらしい。
「一体何だったの…?あれは虚…?戦い方は、まるで斬術を学んだ死神みたいだった。それに、逃げるにしても何故虚圏に逃げなかったの…?」
一連の襲撃の意味が理解出来なかった。しかし逃がしてしまったものは仕方が無い。
「…治せるかな。」
斬魄刀を収め右手を肩の傷口に添える。淡く白い光が傷口を包んだ。回道では無く、回帰能力を使い治癒を試みたが…矢張り回道と比べ遅い。ここでやるにはどうにも時間が掛かりそうだ。状況を整理する為にも、回復させることを一旦諦めたゆうりは力の入らない左肩を抑え、有昭田の居るアジトへと引き返した。
誰も居なくなったかと思われる空間に、人影が3つ現れる。黒いローブのようなものを纏った彼らは最後にゆうりの居た場所を見詰めた。
「…まだ完成品とは言えない様だね、要。」
「えぇ…ですがアレはやっと形になったばかりのものです。そう簡単に死なせる訳にはいきません。片腕は再生が出来ます。」
「藍染隊長、ゆうりをどないする気ですのん?」
「虚化実験…殺してホワイトのように完全な虚にするのも悪くない。けれど……矢張り傍に置いておきたいね。彼女がやろうとしていた事…見たかい?回帰能力を身に付けようとしている様だ。」
「回帰能力といえば…元副鬼道長、有昭田鉢玄が得意としていました。」
「その通り…つまりゆうりは平子真子達と接触した可能性が非常に高い。或いは…今も共に有るかもしれないね。」
「ボクがゆうりの後着いていきましょか?」
「いや、今はいい。場所が割れたのなら急ぐ必要は無い。戻ろう要、ギン。」
彼女は情が深い。付け入る隙は幾らでも有る。例え私たちの心が護廷十三隊と共に無いと知ったとしても、ゆうりにできる事は何も無い。それを教えてあげよう。
藍染は口元に薄い笑みを浮かべ市丸と東仙を連れてその場を去った。
一方で有昭田達の元へ戻ったゆうりは3人と顔を合わせるなり随分と驚かれた。
「なんやそれ!虚か!?」