第6章 死神編【駐在任務編】
「…確かめて来ます。」
今まで感じ取った事の無い禍々しい霊圧に少しだけ恐怖を感じた。何より純粋な虚というより何か混ぜ込まれてるような気持ち悪い感覚だ。
突然表情を固めたゆうりに平子達はキョトンとしたまま彼女を見送る。アジトを出た彼女は霊圧を感じる元へと向かった。
「あれは…。」
真っ暗な夜空の元で、宙に浮いている黒い影。殆ど人型をしているが全身が黒く、2本のツノが頭の両側から生えており腕は肘より少し上辺りから刃のように鋭い。何より虚の穴が、何か肉の塊のような物で塞がれている。
ゆうりが戦闘を仕掛ける前に遠くから虚の後ろ姿を観察していると、急にぐるりと顔が彼女へ向いた。
「オオォォアアア!!!!」
「っ……速…!」
劈くような叫び声と共に虚は一直線にゆうりへと向かってくる。瞬歩とまではいかないが俊敏な動きに目を見開き振り上げられた腕の刃を間一髪、斬魄刀で受け止める。
しかし虚の猛攻はそれだけでは終わらず直ぐに隻手が横腹目掛け振られ、咄嗟に間合いを取り逃げる。まるで二刀流でも相手にしているかの如く、虚というより人間らしい打ち込み方にゆうりは眉を顰めた。
「どう見ても普通の虚じゃない…何者…?会話も出来ないの…?」
大半の虚は会話は出来た。意思があり魂魄や人間を襲っていた筈なのにこの虚からは全くそれが感じられない。とてつもなく不気味だった。まるで獣の様に両腕を刃を何度も振り上げては打ち込んで来る。斬魄刀で攻撃を防ぎながら、得体のしれない虚の観察を続けた。
両腕の刃が振り上げられ纏めて斬魄刀で受け止めたその時、角の間で白い光が集まっていく。
「…くッ……虚閃…!?」
気付くと同時に至近距離でそれが発射された。細い閃光が左肩を貫きゆうりより後方で激しい爆発を起こす。油断した。
歯を食いしばり、瞬歩で虚の背へ回る。斬魄刀を振り上げ黒い鎧にも見える片腕を肩から切り落とした。それでも虚は痛がるどころか先程のように叫びすらしない。表情すら何一つ変わらない。
ゆうりは1度虚から距離を取り左肩を抑え虚と対峙し直した。
「片腕無くしてもまだやる…?今度はその仮面、割っちゃうよ。」