第6章 死神編【駐在任務編】
1番身近で信頼をおいていた人物は本当は敵…。頭が痛くなりそうだ。何を信じて何を疑えばいいのだろう。
「……真子の言ってる事は信じるよ。けど前に言った通り現世にずっと残る事は出来ない。藍染隊長もギンも、私と親しい人たちを知ってる。私を引きずり出す為に大切な人達に手を出されるのは怖い。だから尚更、瀞霊廷には戻らないと。」
「ええで。けどオレと連絡は必ず取ってや。勿論バレんようにな。」
ポケットから取り出した伝令神機の番号を平子のみ登録した。ゆうりは万が一伝令神機を紛失する事があったとしてもバレないように平子の番号は登録せずに居た。浦原が現世に追放されてしまったのも、藍染や市丸達のせい…そう考えるととても恨めしい。しかし己が何も出来無かったのもまた事実なので恨むに恨み切れない。手に持った伝令神機を強く握る。
「…これからどんな顔してギン達と話せば良いんだろう。」
「いつも通りに接してや。事件の真相を知ったとなったら何されるか分かったもんやない。手段は選ばんぞ、アイツは。」
「そう、だよね…。キツイなぁ。」
ギンの優しさも言葉も全て嘘だったのだろうか。触れた温もりも全部私を丸め込む為のまやかしだったのかな。そう思うと心臓が締め付けられるかのようにズキズキと痛む。
表情を曇らせたゆうりを見て平子は眉を寄せる。まるで失恋でもしたかのような顔だ。それが非常に複雑な気持ちにさせられる。
「…疑ってスマンかったわ。」
「良いの。話してくれてありがとう。」
それからしばらく2人の間に沈黙が続いた。
ずっと追い求めたていた真実は余りにも残酷でゆうりの心を蝕んだ。今よりもっと、更に強くならなければ。そうでないといざという時に今度こそ、大切なものを守れないかもしれない。私が、強くならないと。強迫観念にも似た想いに突き動かされる様に、その日を境にゆうりは過度な鍛錬を積む日々を送り始めるのだった。
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