第6章 死神編【駐在任務編】
「うん、流水系の斬魄刀だよね…?」
「あれは嘘や。アイツの斬魄刀の能力は完全催眠…1度始解を見た奴は完全催眠の手に落ちる。チートやでチート。」
「完全催眠…!?じゃあ、みんなの前で始解を見せていたのは…予めいつでも催眠を掛けられる状態にする為って事…?」
「察しええな。そういう事や。ゆうりも見たやろ、アイツの始解。」
「…見た。」
思っていた以上に周到に準備されていた裏切りにゆうりは息を飲んだ。嫌な汗が頬を伝う。彼らが好んで霊圧の高い死神を実験体に選んでいるということは…もしかして、実習の際防壁を壊したのは…。そこまで考えが行き着いた所でサッと血の気が引いた。
「……私のせいだったんだ…。」
「…ゆうり?」
「まだ学生の時…魂葬実習の先導をしたことがあるの。その時霊圧を消せる虚の襲撃に遭ったんだけど…直ぐに助けに来てくれたのが、ギンと藍染隊長だった。凄く早い到着だったから違和感はあったの…。」
彼らは私を試したんだ。そのせいで、ほたるちゃんが殺されそうになって、修兵は治ることの無い傷を負った。
私が実習に参加したせいで彼らが巻き込まれる羽目になってしまったのではないか。何がトラウマの克服だ。元はと言えば自分の責任だ。
ゆうりは下唇を強く噛み締め俯いた。自分が誰かと居る限り、周りの者に危害が及んでしまう。
「アホ、何をそないに辛そうな顔してんねや。悪いのはオマエやない。藍染達や。」
「でも、私が誰かと居れば巻き込んでしまうかもしれない…。それなら私は一人でいた方が良いよ。全部自分でなんとかしないと…。」
「そんならオレらと一緒に居たらええ。同じ穴の狢やろ。狙われとるんはお互い様やで。」
「…でも……。」
「安心し、オレら元々隊長と副隊長やぞ。そう簡単にやられはせん。けど今は時期やない。じっくり身を潜めて、力蓄えるんや。藍染は強い。勝つ為にはしっかり準備せんとアカン。…その為にはゆうりもこっち側に着いて欲しい。市丸と仲良いのは知っとる。けど、藍染達の元に行かんといて。」
ゆうりは口を噤んだ。藍染達は私達死神を殺すつもりなのだろうか。最終的に何がしたいのだろうか。それがハッキリと分からない。けれど野放しにしていたらとんでもない事が起こりそうなのは何となく予想が出来た。