第6章 死神編【駐在任務編】
顔を上げると目の前には平子が立っていた。追ってくるだろうとは思っていたので驚きはしなかった。彼はゆうりの隣にどさりと座る。ゆうりは抱えた膝を降ろし地面に足を着いた。
「…私ね、事件について考えたの。何があって、真子達はここに居るのか。どうして虚化なんてしたのか。」
「…どう考えてん?聞かせてや。」
「ギンと藍染隊長なんでしょう。裏切り者は。」
ゆうりの言葉は疑問系というよりも確信を持っている様に聞こえて彼は目を見開いた。彼女は平子に顔を向けないまま続ける。
「最初は真子達が裏切り者なのか瀞霊廷内に裏切り者が居るのか分からなかったの。今よりもっと強い力を求めて真子達が虚化を試みたのかなとも思ったけど…完全な虚になるリスクがある以上、自分に行うメリットが浮かばなかった。なら誰かが真子さん達を無理矢理虚化させたって事になるでしょ?それが…藍染隊長とギンなのかなって。真子、こっちで会ってから1回も2人のこと名前で呼ばないんだもの。」
「……なるほどな。随分頭がキレる様になったやんけ。」
「…教えて。事件の全容を。虚化についても。」
「分かった、そこまで理解しとんなら全部話したるわ。」
平子は以前話した内容を更に細かく伝えた。藍染を副隊長にしたのは最初から何か企みが有るのでは、という疑いがあった事。それはまさに的中しており魂魄消失事件そのものが藍染が引き起こしていたこと。
事件当日、魂魄消失事件の解決に向かった九番隊が東仙の裏切りにより最初に全滅させられたこと。後から事件収束に向かった自分達も虚化の実験体にされたこと。
虚化が進む最中浦原が後から駆け付け完全に虚となる事を防ごうと奮起してくれたこと。…そして、その結果浦原が虚化実験の罪を着せられてしまい、虚として処分される筈だった自分達に加え、彼も現世に逃げざるを得なくなってしまったこと。その際四楓院も浦原に手助けした事で彼女も巻き込まれてしまったらしい。
「…そんな……。」
「信じられんか?けど変わることの無い事実や。藍染の目的は死神を虚化させることで、死神としての力の上限を超える事が出来るのか試す事…その実験体に並の死神より強い隊長、副隊長のオレらが選ばれたっちゅー話や。ゆうり、藍染の斬魄刀、知っとるやろ?」