第6章 死神編【駐在任務編】
窓から転落してしまった子供、不幸な事故で亡くなってしまった子供…色んな子供が居る。それでも毎日しっかり魂葬をしているおかげもあってか整の霊は随分減った様な気がする。まだあまり向かっていない地区へ入った所で人ひとりすら居ない閑散とした公園を見つけた。休憩も兼ねて中へ入り、ベンチに座る。
「…市丸、か。」
真子の言い方で疑念は確信に変わった。ギンと私の関係を深く疑っているのは、彼ら…真子達が敵対しているのがギンと藍染隊長だからだろう。以前は名前で呼んでいた相手を、突然苗字で呼ぶのは矢張り考えられない。そして彼はきっと私がギンに情報を流しているのでは、と一瞬でも考えたのだろう。でないとあんな聞き方にはならない筈だ。
「うーん、大霊書回廊行きたいな!」
市丸と藍染がグルだとして、平子達を虚化させた意図が全く分からない。そもそも彼らが何をしたいのかが分からない。平子達は虚化した事で普通の死神だった時以上の力を手に入れた。しかし浦原がいなかったら完全に虚になってしまう可能性があったと言う。平子達を虚化させたのは、安全に自分が虚化する為の糸口を探す実験?というか、そんなリスクを犯してまでやりたい事が有るのだろうか?既に隊長の彼らは今以上の力を欲しているという事…?
ただ一つ分かることはおそらく平子達は本当にただの"被害者"であり、藍染と市丸は"加害者"である事だけは理解出来る。
「……あんまり、知りたくなかった。」
自ら深く問いたださなかったのは何よりも市丸が裏切り者だったと思いたく無かったからだったのに。嫌な予感というものは何故か当たってしまうものだ。自分が疑われる事よりもその事の方が余程息苦しい。
信じていたのに。浦原の居ない今、誰よりも味方だと思っていたのに。隊長達がいなくなってしまった事で泣いた時、彼は一体どんな気分で私を慰めていたのだろう。内心嘲笑っていた?あの仮面の下の表情を見てみたい。
ゆうりは膝を抱えて埋めた。いっその事初めて瀞霊廷に来た時に戻れたら良いのに。全部全部変えられたかもしれないのに。時の流れというものは残酷だ。進む事しか許されない。
「やっと見つけたわ……霊圧調整上手くなったなァ。」
「……あ、思ったより早かったね。」
「探しに来ると思っとったんかい。」
「うん、絶対来るって思ってたわ。」
「策士やんけ。」