第6章 死神編【駐在任務編】
「…ふふ、そうね。」
「会計に行くといつも周りから好奇の目で見られるのだけはやめて欲しいけど。」
「でも私は幸せだよ。皆と家族みたいに過ごせて。あ、これ安い。」
ゆうりは気の抜けた笑みを浮かべながらもしっかりと値段を見比べながらなるべく安い食材を籠の中へと入れていく。野菜や小麦粉、大量の茸等でどんどんカゴの中は埋まっていく。必要な物からちょっとしたお菓子まで集め終えた所で六車と鳳橋を見た。
「ローズさんと拳西さんは何か買いたいものある?買い物に来た人の特権だよ!」
「酒。」
「じゃあおつまみ。」
「お酒コーナー行こうか。」
酒がびっしりと並べられたコーナーに入ると日本酒やらビールやら、チューハイがどんどん空いた籠へ入れられていく。ゆうりも何本か甘めのチューハイを手に取り籠へ足した。
「洋梨のチューハイだって、美味しそう。」
「これもいいんじゃねーの?スパークリングワイン。」
「あぁ、それ飲みやすいよ。ボク飲んだ事有る。」
「じゃあ買っちゃおっと。」
その他つまみ類も揃え、やっとの事会計に並んだ。あまりに大量な籠の中身ではあったが行き付けという事もあり店員からは特に何も思われる事は無かったが、客からは好奇の目が寄せられる。全てのスキャンを終えた後自動会計の機械で必要金額を支払ってから袋詰めを始める。
「これだけ量あると袋詰めもめんどくせぇな。」
「もう1人くらい連れて来ても良かったかもね。ラヴとか暇してたでしょ。」
「お酒は袋二重にしないと絶対破れるよね。」
「それ俺が持つ。」
「流石拳西さん、かっこいい。」
「褒めてもなんも出ねーぞ。」
緩い会話をしながら黙々と袋詰めをする事数分、やっと終わった所で3人はカートを元の位置へ戻しそれぞれ大きな袋を2つずつ持ってスーパーを出た。
「あっ!そういえば、ずっと拳西さんに話したかった事があるの。」
「何だ?」
「私の同期に檜佐木修兵って子が居るんだけど…覚えてるかな。1度拳西さんに会った事があるんだって。」
「檜佐木修兵…修兵………あァ、あん時の餓鬼か!へぇ、死神になったのか。」
「うん、今は九番隊の席官入りもしてるよ。彼ね、拳西さんに憧れて死神になったんだって。あの人みたいに誰かを守れる死神になりたいって。ほっぺに拳西さんと同じ刺青まで入れてるの!」