第6章 死神編【駐在任務編】
季節は秋。緑だった葉は黄色や赤と鮮やかに染まっている。虚退治を終えたゆうりは今日の夕飯を何にするかを考えながら家へ戻った。玄関から入ろうとドアノブへ手を掛けた所で勝手に開く。顔を覗かせたのは六車と鳳橋だ。
「あれ、拳西さん達今からお出かけ?」
「冷蔵庫の中すっからかんだからね、これから拳西と何か買いに行こうと思って。」
「オマエは仕事終わったばっかりだろ。休んでて良いぜ。」
「えっ!?そんな、大したことないし私も行くよ!」
「虚退治って本業だよね…?」
バタバタと自室に戻って行ったゆうりの背中を見詰めて鳳橋は肩を竦めて笑う。義骸を着たゆうりは鞄に財布や必要な物を詰めてから玄関まで戻って来る。
「お待たせしました!」
「別にゆっくりしてて良いのによ。部屋でぐーたらしてるヤツらと大違いだな。」
「皆私が死神になるより前に充分働いてるでしょ?だから今はゆっくりしても良いんじゃないかな。買い物も私1人でも大丈夫だよ?」
「ここまで来て今さら、じゃあよろしくなんて美しくないでしょ。それにレディ1人に大荷物を持たせるのはちょっとね。」
「実際は怪力だけどな。」
「霊圧は高いけど別に怪力じゃないよ!」
「嘘つけ、死神の強さは霊圧に比例してんだぞ。非力なわけねーだろ。」
「……今はほら、義骸着てるから。」
「たしかに。本来の人間相当の力に合わせられてるんだっけ?」
「そうなの、だから走るのも並だし力も並の女の子だよ。」
そんな話をしている内にすっかり行きつけとなったスーパーへ辿り着いた。自動ドアを潜るとまだ外は少し夏の名残があるせいかエアコンが効いておりひんやりとした風が肌を撫でる。カートを二台引き出し、籠を全部で4つセットしてから店内を回る。
「今日のディナーは何にする?」
「秋だし秋刀魚も良いかなって思ったんだけどグリル1個しか無いし、鮭のムニエルとかどう?」
「お、良いな。後は、秋つったら茸だろ。」
「じゃあキノコたっぷりの野菜炒めも作ろう!」
生鮮食品から周り綺麗な橙色をした切り身を人数分籠へ入れる。その他3日分の食材を買い溜める為大量の肉をポンポンと籠に放って行く。
「まるで大家族みたい、毎度思うけど。」
「そんなもんだろ。実際一緒に暮らしてんだしよ。」