第6章 死神編【駐在任務編】
「虚化のひよ里と互角か。やるじゃねーの。」
「鉢玄。結界5枚に増やしとき。」
「そうデスね…。」
有昭田は矢胴丸の指示通り元々張ってある結界を増やす。その間も2人の苛烈な戦いは続いた。先程よりも格段に速く、威力の増す攻撃にゆうりは花弁の爆弾を駆使し彼女の動きを制限するがそれでも矢張り強い。
「なんや受け止めとるばかりやないか!攻撃して来んかい!!」
「ひよ里ちゃんの攻撃が速いんだよ…!」
刀を引きそのまま飛び退いたゆうりは上空に飛び上がり構えた。思い切り横に薙ぐ様に振るうと白い斬撃が猿柿に向かって飛ぶ。
「チッ…!」
「もっと大きいのいくよ。」
猿柿は咄嗟に避けたが、ゆうりは続け様に何度も斬撃を飛ばす。中々彼女を捉える事が出来ず地面に斬撃がぶつかる度土埃が舞った。
散っていた花弁を収束させ長い刀へ再び形を戻すと、両手で柄を握り思い切り斜めに振り下ろす。途端に斬撃は猿柿の身体より何倍も大きなものに変わった。彼女は黒くなった目を見開かせると咄嗟に口を開く。赤い光が口元に集まり、それは虚閃として放たれゆうりの斬撃と交わり爆発を起こしながらどちらも消滅する。
「クソ、どこや…!」
「みーつけた!」
灰色の爆煙から現れたゆうりは猿柿の仮面へ切っ先を突き立てる。刃先がくい込んだ箇所から亀裂が入り、そのまま音を立てて割れた。仮面が壊された猿柿は呆気に取られ、ゆうりは口角を吊り上げ笑って斬魄刀を収める。
「私の勝ち!」
「…なんや、強いやんけ。心配してソンしたわ!」
猿柿も斬魄刀を1度軽く振り下ろしてから鞘へ戻した。ダボダボな赤ジャージのポケットに手を突っ込み、外野へ顔を向ける。
「終わったわ、結界解きや!」
「はいデス。」
有昭田が結界を解くと二人揃って戦闘を眺めていた面々の元へ歩み寄った。途中からしっかりと見ていた平子は猿柿が敗けたのがさぞ愉快なようで、ニヤニヤと笑う。
「年下に敗けた気分はどや、ひよ…い゙ッッ!!!」
「うっさいわハゲ。」
最後まで言う前に猿柿は片足をヒョイっと上げ履いていたサンダルを脱ぐと裏面で平子の頬を思い切り叩いた。遠慮のない一撃に彼は遠くへと飛んで行く。ゆうりはそんな平子を見て苦笑こそしたが、追いかけはし無かった。