第6章 死神編【駐在任務編】
「アホ、苦手やからやるんやろが!安心しィや、うちは元副隊長やで。それにこの辺で出る虚なんて大した事無いやろ。腕鈍るど。」
「う…それはまぁ、そうかも…。」
彼女の言葉に口を噤む。猿柿の言う通り、確かにこの地区では虚の出現は多い。しかしながら雑魚ばかりで、始解せずとも勝てるようなものしか居ない。楽といえば楽だが…物足りなさは有る。
「ひよりん、ゆうりんと勝負するのー?」
「おん、そうと決まったらアジト行くで!ハッチも来や、結界頼むわ。」
「今から!?」
「エェ、もう夜デスヨ?」
「朝でも昼でも夜でも変わらんやろ!ほら、はよせんかい!!」
「あたしも行くわ。ゆうりがどんだけ強くなったか興味ある。」
「白も行く!」
「拳西も誘ってみるわ。」
「そ、そんな見世物みたいな…。」
矢胴丸は自室に居た六車へ声を掛けに行く。久南は、仕事に出ているメンバーに居場所を伝える為メモ用紙に戦闘訓練の為元アジトに出向いている事を書いて残した。
先に家に居た5人は、以前平子達が使っていた倉庫へと向かう。最初に来た時は気付きもしなかったが、倉庫には地下が有り中は異常な程広々とした空間が広がっていた。しかも、まるで外のように明るく床は土で出来ており所々草まで生えている。
「何これ…土?」
「修行場や。ここで虚化の持続時間伸ばす特訓しててん。作ったのは喜助やで。」
「喜助さん、なんでも作れますね…。」
「技術開発なんつー組織作っただけは有るよな、実際。」
久南、六車、矢胴丸は部屋の入口近くに無造作に置かれているソファや椅子に座った。ゆうりは義骸を脱ぎ捨て死神化すると、有昭田は結界を張るべく両手で印を結ぶ。猿柿はいつも通りの赤ジャージを着たままにんまりと笑い、背中に背負っていた斬魄刀を抜いた。
「ぶっ手切れ!!"馘大蛇"!!」
「魅染めろ!"胡蝶蘭"!」
猿柿の斬魄刀は元々細かった刀身がかなり太く、大きなギザギザの刃に変わる。対してゆうりの斬魄刀は自分の身の丈よりも細く長い刀身へと姿を変えた。
「まずは虚化無しで見たるわ。本気でかかって来や。」
「…うん、よろしくお願いします!」
互いが地を蹴り間合いを詰めると中心で刃が交わる。金属同士が擦れる耳障りな音が響いた。単純な腕力の差か、僅かではあるが猿柿の方が押している。