第6章 死神編【駐在任務編】
「ハッチさんって、鬼道衆だったんだよね。縛道や破道の他に特殊な鬼道を使えたりするの?」
夜、特に伝令神機からの連絡も無く暇をしていたゆうりは同じく暇を持て余していた有昭田とリビングで話していた。他にもソファに矢胴丸、白が座って互いに寄り掛かりながら雑誌を読んでいる。
「そうデス。こっちに来てからデスが、自身で編み出した鬼道も幾つか有りマス。後は、回帰能力が使えますヨ。」
「回帰能力?」
「例えば…ここに雑誌がありマスネ?」
「おいそれあたしのやぞ。」
「これが破れてしまったとシマス。」
「話聞きゃあ!」
ビリッ、と音を立てて雑誌が縦に割かれた。無残にも破り去られた雑誌を見て矢胴丸が有昭田を睨む。しかし彼はそんな視線も気にせずゆうりへ顔を向ける。
「回帰…すなわち元に戻る事を指しマス。」
「……わっ、凄い!元に戻ってる!」
有昭田の手から放たれる淡く白い光が雑誌を包むとみるみるうちに破かれた本が元へ戻っていく。光の色は回道と似ているのに、霊子で出来てはいないものが直っていくなんて、初めて見る。
「これが回帰能力デス。ただ、これに関しては身に付けられるモノでは無く、元々持っている性質デスので、ゆうりサンが使えるかどうか…。」
「なるほど…。私がハッチさんと似たような霊子構造だったら、使えるんだ。」
「ハイ。今はただの雑誌デスが、本来なら壊れ、失ったモノも修復する事が出来ますヨ。」
「凄い!とっても素敵!」
ゆうりは両手をパンと合わせて目を輝かせた。まだまだ自分の知らないものは沢山ある、広がって行く世界に心が弾んだ。褒められた有昭田は少し照れ臭そうに笑う。
「ハッチさん、もし良ければ時間がある時鬼道を教えて欲しいんだけど…良いかな?」
「えぇ、モチロン。」
「やった、ありがとう!」
「なんやオモロそうな話しとるやんけ!!」
有昭田の手を取りブンブンと上下に振ると、帰宅したらしい猿柿がリビングの扉を開く。ゆうりが彼女に顔を向ければ猿柿が両腕を組んでふんぞり返った。
「どうせなら鬼道だけや無くて、うちが戦闘訓練したるわ!!」
「えぇっ、良いよ!白打と剣術は苦手だもん。」