第6章 死神編【駐在任務編】
「キスされても照れんのに、褒められると照れるんか。」
「え?あ…そう、なのかな?普段しない格好だからかも。」
「ごっつええ感じやで。惚れるわ。」
「真子も似合ってるよ。かっこいい。」
「せやろ?しっかし、こない美人を1人で歩かせる訳にはいかんなァ?」
「ふふ、そう?じゃあ私が勝手に何処か行かないように繋いでてくれる?」
「勿論。」
ニンマリと笑った平子は恭しく右手を差し出した。ゆうりも笑顔でその手を取り、指を絡めて繋ぐ。久しぶりに触れた彼の手は相変わらず自分よりも大きく骨張っていてゴツゴツしている。そのまま花火大会の会場へと歩き始める2人の背中を、残る面々はこっそりと追いかけた。
「死神になってからどうなん?直ぐ席官入りしたのか?」
「うん、四番隊の五席だったよ。卯ノ花隊長に回道を教わったの。」
「元々鬼道に興味持っとったもんなァ。市丸から貰った教本どうしたん?」
「まだ持ってるよ。こっちには持って来てないけど…。あの教科書があったお陰で特進に入れたし、もうボロボロなんだけど捨てられなくて。」
「特進だったんか!流石霊圧高いだけ有るわ。コレも新しい制御装置やろ。」
「よく分かったね!皆勘違いしたのに。」
繋いでいた手を持ち上げ指輪へ視線を落とす。初めて会った時から気付いて居たが触れなかった。彼女が希望して作らせたのかどうかは分からないが、木賊色の石がわざわざ埋められている辺り制御装置としての役割を担っているであろう事は想像に容易い。…気に食わないのは確かだが。
「そら薬指なんかに付けてたら勘違いもするやろ。全員が制御装置使っとるわけともちゃうしな。兎に角…恋人が居るんとちゃうやろ?」
「居ないよ。今は作らないしね。」
「なんでなん?」
「喜助さんを見つけてないから。私が死神になったのは喜助さんや皆を探す為。喜助さんと夜一さんに再会出来たら自分の為に生きるのも良いかなってちょっと思ってるよ。」
「…喜助の事大好きやんけ。」
「私を見つけて、とても大切にしてくれた人だから。私だって喜助さんが大事なの。あ、喜助さんの家で過ごしてた時彼から真子の話も聞いたよ。」
「オレの?」
「寝てる間に藍染隊長に根こそぎ髪を切り落とされてハゲになったとか。」