第6章 死神編【駐在任務編】
「白さーん、朝ですよ。ご飯出来てますよー。」
「うへへ……拳西のスケベ〜。」
「拳西さんが聞いたら怒られますよ…白さん起きてー!」
「えぇ〜…朝ぁ?」
軽く身体を揺すると久南の両眼がパチリと開いた。バッと勢いよく起き上がるとスンスンと鼻を効かせ笑顔を浮かべる。
「ご飯の匂いだ!おはようゆうりん!」
「おはようございます、白さん。ご飯出来てるので食べちゃって下さい。」
「わーい!行ってきまーす!」
匂いに釣られた久南は元気良く部屋を飛び出ていく。子供のようにはしゃぎ素直な彼女にゆうりはまるで母親になった様な気持ちで思わず頬を緩めた。
最後に平子の部屋へと向かう。ノックしても返事が無いので勝手に扉を開くと、布団の中で規則正しい寝息を立てている。
「真子、朝だよ。起きて。」
扉の近くから声を掛けても、余程熟睡しているのか反応が無い。仕方無く部屋の中へ足を運び肩に手を掛け軽く揺すると、不意に目がパッと開きゆうりの腕を掴むと同時に引き寄せられる。咄嗟の事に反応が遅れた彼女は簡単に彼へ倒れ込んでしまう。
「あ、おは…わっ!!」
「おはよーさん。」
ゆうりの頬に何か柔らかいものが触れた。それは甘やかなリップ音を立てて、ほんの一瞬で離れる。口付けられた頬を掌で摩りながら平子を見下ろすと彼は悪戯っ子のように笑う。
「隙ありや。」
「…真子って、すぐキスして来るよね。」
「1番愛情伝わりやすいやん?」
「軽すぎてむしろ伝わらないよ。ご飯出来てるから起きて!」
床に手を着きゆうりは立ち上がると逃げる様に部屋を出た。残された平子は顎に手を添え小首を傾げる。昔は少しでも照れた筈なのに今はたいした反応が無い。大人になったからか、はたまたそういう行為に免疫でもついたのか…。気になる所だが本人に直接聞く機会を逃してしまった。彼は僅かにつまらない気持ちを抱えながらも布団から出てリビングへと向かった。
共同となるスペースは既に彼以外揃っていて賑やかという言葉が正に当て嵌る。楽しそうに雑談を交えながらそれぞれ食事をとっていた。
「遅いでシンジ!オマエの分うちが食うたるわ!」
「あんま変わらんやろが、オレの飯取んなやひよ里!」
「けんせー、醤油取ってー!」
「自分で取れよ、届くだろ。」
「面倒くさい〜!!」