第5章 死神編【中編】
それから魂葬は滞りなく進んだ。檜佐木達と連絡を取り合った所、どこも問題無く一人3回ずつ終える事が出来た。しっかり生徒名簿へチェックを入れてからゆうりは生徒達へ向き直る。
「ノルマ達成!お疲れでした。それじゃあ、瀞霊廷へ帰ろうか。」
地獄蝶を使い瀞霊廷へ戻ったゆうりは他のグループと合流した。特に大きなハプニングも起こる事無く終えた実習に各々息を着く。生徒達も達成感からか行く前よりも何処か誇らしげに見えた。
「これで全員帰ってきたね。今日の実習はこれで終了!お疲れ様〜。」
「「「「ありがとうございました!」」」」
頭を下げて去って行く生徒達。しかし日番谷だけはその場から動かず人が居なくなるのを待った。
周りの同級生が居なくなった所でゆうりへ歩み寄る。残っていた檜佐木達は不思議そうに彼を見下ろした。
「聞きたいことがある。」
「どうしたの?冬獅郎。」
「今日防壁を張ったのはゆうりだよな?どんな防壁を張ったんだ?」
「あ、それ私も気になってた!」
「実は俺も。街丸ごとだろ?」
「あぁ、そんな事?簡単だよ。外側に霊圧探知を遮断させる膜を張って、その内側に侵入を防ぐ結界を2枚張ったの。前回の事があったから念の為、ね。種類的には多分縛道の内に入るのかな…?自分で編み出したやつだから分かんないけど。」
「…え、お前あんな結界張りっぱなしで表情一つ変えずに居たのかよ。」
「うん。私鬼道得意だから。」
「得意ってレベルじゃないよ…鬼道衆もびっくりだよ…。」
若干引き気味の檜佐木、青鹿、蟹沢に対して日番谷はただ驚いた。初めて出会った時から只者では無いとは思っていたが、想像できる範疇を越えている。とんでもない女だ…。素直に尊敬した。
「…そのレベルで隊長じゃねぇのか。」
「隊長になるには試験もあるしそもそも隊長は何処も欠けてないんだから私がなる必要は無いんだよ。私達は先生に実習の報告に行かないとだから。冬獅郎も疲れたでしょ?ゆっくり休むんだよ!」