第5章 死神編【中編】
「ふふん、でも今回は私がリーダーだもん。そろそろ時間だし、始めようか。」
「おい、説明するぞ!私語は慎め!」
青鹿が声を上げるとざわめきはピタリと止まった。静かになった所でゆうりは生徒を一度確りと見渡してから口を開く。
「本日特別講師として実習を担当する染谷よ。それと左から蟹沢、檜佐木、青鹿。この4名です。よろしくね。」
「あ…あの、1つ質問してもいいですか?」
「どうぞ?」
「…以前この実習で事故があったって聞いたんですけど、本当に安全なのでしょうか…?」
手を挙げて質問を投げ掛けた生徒にゆうりだけでなく全員が驚いた。アレから時間は経ったといえど、生徒達の様子を見る限り恐らく同じ事を考えている者も多いのだろう。
蟹沢達が困った顔でゆうりを見たが彼女は直ぐに表情を繕う。
「問題ないわ。あれから防壁は強化されているし、今日防壁を張ってるのは私よ。最低でも隊長クラスの霊圧が無いと割れない様に調整しているから、ヒュージホロウでは何十体で来ても割れる事は無い。安心して魂葬に励んで下さい。」
何でそんな高濃度の防壁が席官レベルで張れるんだよ。死神組はそんな疑問を抱いたが今は聞くべき時ではないと判断した。彼らの実習なのだから。ゆうりが話し終えたところで入れ替わりに蟹沢が1歩前に出る。
「皆、紙は持ってるわね。それぞれ同じ絵柄を持った子がいるはずよ。死神マークは私に集まって。」
「髑髏マークの奴は俺だ。」
「バツマークが俺だ!」
「刀のマークは私よ。7人1チーム、それと私達が各々引率するわ。ノルマは一人3回。」
今回の実習は前回ゆうり達が行ったものとは異なった方法だった。街丸ごと防壁を張っておりその中で各班、リーダーであるゆうり達が各々霊圧探査を働かせ整となる霊を探り魂葬を生徒に執り行わせるのだ。範囲が広い分霊も多いが、それぞれ迅速に霊圧探査を行い、魂葬を進めていく必要がある。
「準備はいいね。それじゃあ行こうか。修兵、ほたるちゃん、青鹿くん、また後で。」
「あぁ。」
「おう!」
「また後でね!」
解錠し、各リーダーが生徒達を引率して現世へ降り立った。ゆうりは振り返り取り残されている生徒が居ないか確認すると頷く。
「さて、着いたね。まずはこっちよ。」