第5章 死神編【中編】
「ゆうりちゃん、久しぶり!」
「ほたるちゃん!久しぶり!」
「お久しぶりです、ゆうりさん!」
「よう、お疲れ。」
真央霊術院の前。ゆうりと蟹沢、そして青鹿と檜佐木は集まっていた。最後に現れたゆうりに蟹沢は飛び付き、青鹿は頭を下げ檜佐木は軽く手を振る。
今日は偶然4人の休暇が被る日であった。それを知ってか知らずか過去の担任から特別講師の依頼を受け、元教え子である彼らはそれを快諾し現在に至る。
「まだ授業まで時間あるな…少し中入るか?」
「そうだね、恋次達にも会えるかな。」
「なんだか懐かしいね。」
来客用玄関から入った4人は過去何度も歩いた廊下を今は死覇装を着て歩く。その姿は生徒達の目を引いた。護廷十三隊から特別講師が来るのはそこそこよくある事だ。しかし彼女達が来るのは初めてなのである。
「3年の特進は…あ、ここだ。」
「変わってないっすね。」
「ね!なんか嬉しいなぁ。失礼しまーす!」
「遠慮無さすぎだろ。」
ゆうりは軽くノックしてから教室の扉を開いた。当然の訪問者にクラスはザワついたが入って来た人物を見るなり嬉しそうに声をあげる者も多い。
「染谷さんだ!」
「檜佐木さんも居る!」
「お久しぶりです青鹿さん、蟹沢さん!」
「皆元気そうだね、良かった。」
「顔付きが良くなった奴が多いな。」
あの実習以来現在の3年特進生徒との交流も深まった4人は自然と歓迎された。女子生徒は檜佐木に集まり、男子生徒はゆうりと蟹沢へ集まる。元々優秀だったゆうりと檜佐木には特にファンが多かった。
「今日は特別講師ですか?」
「えぇ、そうよ。君たちにやった実習を今度は新しい一回生達に…ね。」
蟹沢がそう口にすると表情が陰る生徒も何人かは居た。それ程当時の実習は彼らにとって忘れ難いほど恐怖した事件だったのだ。蟹沢、青鹿、檜佐木も少しだけ表情は硬い。ゆうりだけが自然だった。
「何だこの人だかりは…。」
「あれ、ゆうりさん達じゃないか?」
「あっ、本当だ!」
教室には居なかった3人が戻って来た。廊下から見える人だかりに阿散井はうんざりとしたがその中心に居る人物を吉良が見つけると雛森はパッと笑顔を浮かべる。声に気が付いたゆうりは彼らへ顔を向けるなり手を振った。