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【R18】月夜に咲く華【BLEACH】

第2章 過去編



何も無い、雪が降り注いだかの様な真っ白な世界。音もない、匂いもない、風もない、まるで虚無そのものに思える場所。

「ここ何処…?」

昨日は確か、浦原さんの部屋で寝た筈なのに。夢の中にしては気持ちが悪いくらい意識がハッキリしてる。
急に不安が湧き上がって来た。皆は何処?何で私は1人なの?…独りは嫌。寂しい。

「誰か……ー!」

自分の体躯を抱き締め蹲る。すると呼び掛けに対する応えなのか、強い風が背中から吹き付けられた。その風に乗って白い花弁が舞い、甘い香りが鼻を擽る。

『怖がらないで…。』

「…声、が……。」

見渡しても誰も居無い。しかし声が聞こえる。低過ぎず、高過ぎない優しい男の人の声。全身を包み込む様な暖かな気配。

『僕の名前を呼んで、ゆうり。気付いて、僕の存在に。』

「どこにいるの?見えないよ……。」

『いつも君の傍に居るよ。僕の大切なゆうり。』

「貴方は誰?名前を教えて。」

『僕の名前は…ーーー。』

名前を紡がれた時だけ、酷いノイズがかかっているようで聞き取る事が出来なかった。なんだろう、この感覚は。心臓が早鐘を打つ。知りたい、彼の名前を。見つけたい、彼の姿を。

「聞こえないよ…!」

『大丈夫、急がなくていい。きっとまた直ぐに逢える。その時を、僕は楽しみにしているよ。』

その声と共に真っ白な世界は消えてしまった。混濁する意識の中今度は遠くから、己の名前を呼ぶ声が聞こえる。

「ゆうりサン、起きて下さい!ゆうりサーン!」

聞き覚えがある声だ。少しだけ、焦っている…?
強制的に意識を引き戻されゆうりは目を覚ました。やはり眠っていたらしい。それならばさっきのは夢だったのだろうか。それにしてはハッキリと匂いも鼻に残ってる気がする。目が合った浦原さんが何処か驚いた顔で私を覗き込んでいた。

「泣いてたんスか…?それにこれ、一体どこから…。」

「え、泣いて……うわっ、何これ!」

ゆうりが布団に手を着くと、身体の周りには見たことが無い白い花が沢山落ちていた。片手を頬に手を添えてみると確かにちょっと濡れてる。

「魘されてるし、霊圧は高まるしびっくりしたんスよ〜。何か悪い夢でも見ましたか?」

「…いえ、良く覚えてないんです。怖い夢、だったのかな……。」

「この花は?覚えは有りますか?」
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