第5章 死神編【中編】
何故急にこんな霊圧が高まった…?何か強い虚の襲撃にでも遭ったのだろうか。全く虚らしい気配は無いのだが…。不吉な想像をしてしまうと同時に居てもたってもいられなくなった浦原は杖を片手に取って商店を飛び出した。
「喜助!」
「すみません、見て来ます!!」
四楓院の声も聞かずただ駆けた。どうか無事であるように。それだけを願い霊圧を感知した場所へと走る。
到着したのは祭りの会場だった。荒れている様子も一切無く、明らかに虚とは無縁そうな場所にパチパチとゆっくり瞬きを繰り返し浦原は大きく首を傾げる。
「おかしいな…ここで間違いないハズなんスけど…。」
とりあえず屋台の並ぶ場所の奥へと進んでみる。するとすれ違った高校生達の噂がチラリと耳に入って来た。
「さっき歩いてた4人、モデルか何かかな?」
「銀髪の男の人かっこよかったよね!!ちょっと目細かったけど。」
「私は黒髪の人の方が好みだなー。」
「オレンジ色の髪のおねーさん、超巨乳だったよな…。」
「銀色の髪の女の子、すげー美人だったぞ…。なんか不思議な雰囲気だったし、浮世離れした感じのグループだったよな。ダブルデートとか?」
「あははっ、うちらと一緒じゃん!」
銀髪の女の子…それに、同じく糸目の銀髪の男。他の2人は検討がつかなかったが、銀髪なんてそうそう居るもんじゃ無い。やっぱりここに彼女は居たのだ。浦原は霊圧探知を研ぎ澄ませてみる。…しかし、彼女の霊圧を感知することは出来なかった。
「帰っちゃいましたか…というか何でこんな所であんな霊圧高まったんスかねぇ。」
1つ疑問が残るが居ないものは仕方ない。浦原は深い溜息を付いて肩をガックリと落とし元きた道を戻ろうと振り返った。
「ゲッ!」
「えっ。」
方向転換した直後、視線が絡んだ相手は思いっきり嫌そうに顔を顰める。浦原はそんな彼に苦笑した。多分、ここに来た目的が同じだったのだろう。