第2章 過去編
「勉強熱心だね〜。それならボクの隊舎に来る?リサちゃんも会いたがってるよ。」
「ありがとうございます、是非お邪魔させて下さい。」
デレデレと表情筋を緩める京楽と共にゆうりは彼の隊舎へと向かった。そこでは矢胴丸が堂々とエロ本を広げ寝転んだまま読む姿が目に映る。
「ちょ、リサちゃんボクの部屋で何読んでるの。」
「何って…見ての通りやろ。ゆうりも読んでみる?」
「なんの本ですか?」
「はいはい、ゆうりちゃんにはまだ早いから見なくていいよ。」
矢胴丸の背後から雑誌を覗き込もうとした所京楽の手のひらが目を覆った。矢胴丸は雑誌を閉じ胡座をかいて座る。そこで漸く京楽の手から解放されたゆうりは彼女の隣へと座り、京楽は自分の執務用の椅子へと腰掛ける。
「なんや、ゆうりも本借りて来たん?何読んどるのか見せてみ!」
「あ、はい!鬼道についての本を借りてきたんです。面白そうだなって思って。」
「死神志望かい?ボクら死神は虚というお化けと戦うんだよ。怖くない?」
「ホロー?そういえば、さっき藍染さんも言ってたんですけどホローってなんですか?」
「知らんのかい!!」
聞いたことの無い言葉に首を傾げた。彼女はこの世界において安全な瀞霊廷で過ごしている時間の方が長い。それ故に虚と遭遇する機会も無かったのだ。そもそも死神たちの仕事も良く知らない。
「リサさん達は、どんな仕事をしてるんですか?」
「そうだねぇ…教えてあげようか。良いかいゆうりちゃん。人間は死ぬと、この尸魂界か地獄に魂が流れ着くか、現世に留まり地縛霊になったり虚という悪霊になるんだよ。」
「虚にならずに現世に留まってる霊は整(プラス)って呼ばれとる。基本的に害は無いんやけど、何か切っ掛け次第では虚になる事も有るんやで。」
「なるほど…。」
「虚は生きている人間を襲う。特に親しかった人間を狙うんだ。奴らは魂魄を喰ってしまう。その前に虚を倒し、現世と尸魂界の魂魄が均等になるように調整しているのがボクら死神の役目だ。」
「もちろん虚はあたしらを襲ってくるし、負けたら死ぬ。そもそも虚の好物は質の高い魂魄やからな。気合い入れて殺しにかかって来るで。」