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【R18】月夜に咲く華【BLEACH】

第5章 死神編【中編】



「よろしくね、冬獅郎。」

「勝手に…!…はぁ、もういい。」

「冬獅郎はここで何してたの?」

「…寝てただけだよ。ここは静かだからな。」

「そうだね、私も学生の時はよくここに来て鍛錬してたの。」

「なんでわざわざ今もこんな所で破道の練習してるんだよ。死神なら鍛錬できる場所位あるだろ。」

「そうなんだけど…最近上手くコントロール出来なくて。思ってたより強く出ちゃうから危なくて人がいないここに来たの。君が居たけどね。」

「ふーん…。」

それだけ言うと日番谷は握手を交わしていた手を離した。ゆうりは軽く身体を伸ばすと彼に向かって笑いかける。

「それじゃあ私行くから。またここで会ったら冬獅郎の話もっと聞かせてよ。」

「はぁ?なんでわざわざ…。」

「折角会えたんだから友達になりたいじゃない。いつかキミも私と同じ死神になるんだし、仲間になるんだよ?」

「友達…。」

あまり馴染みのない言葉だった。今までこの髪色のせいか、瞳のせいか…はたまた性格のせいか、友達なんてまともに居なかった。ただでさえ彼女に素っ気ない態度を取っているのに。わざわざ友達になりたいという理由が分からない。
友達という言葉に悶々とする中、ひょっこりとゆうりが顔を覗かせて来た。

「冬獅郎?」

「…なんだよ。」

「また会おうね。」

「気が向いたらな。」

素直じゃないな…。そう思っても口にしたら彼はきっと拗ねるだろう。ゆうりはそれ以上何も言わず、手を振ってその場を後にした。
向かった先は、十二番隊の隊舎だ。実は、死神になってからこの場所に来たことは1度もなかった。どうしても来るのが怖くて中々立ち寄る事が出来なかったのだ。
数十年前と全く変わらない扉。けれど、開いてしまえば全く体制の変わった姿が待っているのだろう。ゆうりは掌で扉を撫でゆっくりと開いた。

「…失礼します。」

中は相変わらず暗くおどろおどろしい。他の隊舎とは全く異なる雰囲気だ。

「ゆうりか?」

「…もしかして阿近?身長凄い伸びたね!抜かされちゃった。」

直ぐに顔を出したのは阿近だった。昔は殆ど身長が変わらなかった筈なのに、すっかり自分を追い越した彼に驚きの声を上げ口元を手で覆う。彼は煙草を咥えニヒルに笑いゆうりの頭をポンポンと撫でた。
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