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【R18】月夜に咲く華【BLEACH】

第5章 死神編【中編】



ゆうりは今日、学院に通っていた頃よく訪れていた流魂街の森に来ていた。死神になってから実に2年の時が過ぎた。今ではすっかり箔が付き回道もしっかり自分のものに出来た為いよいよ席の移動を考えていたが、ひとつだけ気掛かりの事がある。

「ここなら人も居ないし良いかな。」

辺りを軽く見渡したゆうりは手を構える。誰も居ないと判断した彼女だったが、気付いていないだけでそこに人は居た。木の上で眠っていた少年は突然現れた気配に目を覚ます。すぐ下で構える黒い死覇装を着た彼女を見て驚く。自分と似た色をした髪に、同じ緑色の瞳。横顔しか見えないが、美人だと思った。何をする気なのかと身体を起こし見詰める。

「…破道の三十一、赤火砲!!」

ゆうりの手から放たれた赤い光は手前の木をあっさりとへし折り更に奥まで飛んだ所でやっと激しい爆発を起こす。ゆうりは自分の放った破道に眉間に眉を寄せ頭を掻いた。

「おかしいなぁ…かなり抑えて撃ったはずなのに…。」

もう一度試し打ちをしてみようと構えた矢先、後ろでどさりと何かが落ちてくる音がした。何事かと振り返ると、白い髪をした少年が地面に倒れている。ゆうりは数度瞬きをすると倒れたままの彼に恐る恐る歩み寄った。

「…だ、大丈夫?」

「っ、……アンタ、死神だろ…なんでこんな所に居るんだよ…。」

身体を起こした彼は不機嫌そうな顔でぶっきらぼうに言い放った。服を見る限り真央霊術院の生徒らしい。それにしても、人がいる事に気が付かなかった。

「霊圧閉じるの上手だね。全然気付かなかったよ。」

「…質問してるのは俺だぞ。」

悪びれなくにっこりと笑って褒めるゆうりに少年はため息を吐いた。立ち上がり服に着いた土を手で払う。
ゆうりは彼の大きな瞳を見詰める。なんか、自分に似てるなぁ。そんな事を考えて片手を差し出した。

「私は染谷ゆうり。キミの名前は?何回生?」

「…日番谷冬獅郎。1回生だ。」

「1回生!?もうちゃんと霊圧コントロール出来るんだ。凄いね!」

「別に…。」

照れたのか、ふいっ、顔を逸らしてしまった。どうやらだいぶ気難しい性格をしてると言うか…それとも反抗期的なアレだろうか。ゆうりはめげず彼の手を取り強引に握手を交わす。
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